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第4話:とんでもございません

昔、中学の時に仲が良かった女子が、「これめっちゃ面白いから見て!」と、俺にBL本を渡してきた事がある。 教室で渡された時は俺の周りの男子達は男同士の漫画なんて気持ち悪い、そんなの見るなんてキモいと言っていたが、俺は特に抵抗はなかったので借りる事にした。 抵抗がないというのは興味があるという事ではなくて…普通にそういう世界もあるのかくらいに思っていただけで、何より女子がめっちゃ面白いなんて言うから、いったいどんなものかと普通は気になる。 男同士の濡れ場があったのは確かに直視はできなかったけど、ぶっちゃけ絵もストーリーも綺麗で、女子が言うように確かに面白かった。 むしろ感動して泣いてしまったのを覚えている。 だからと言ってBL本にハマったりはしなかったが、良い人生経験になったと思った。 漫画の世界ではとても美しく同性同士の恋愛が描かれていて、こんなイケメンだったら、キスすんのも悪くないかもな、なんて思ったのを覚えている。 「ちょ、まっ――――」 さて、現実に戻ろう。 確かにイケメンとならキスも悪くないと思った事はあるよ。 「ちょっと待ってって!」 「なんで逃げるの?」 「に、逃げるだろ普通!」 けどそれがまさか現実になるなんて思わないじゃんか! 「あんなに乱れまくってたくせに」 「と、とんでもございませんっ」 確かに目の前の男はめちゃイケメンだけど、そりゃ漫画から出てきたんですかあなた?って言いたくなるほどイケメンだけど…‼︎ 「ははっ、とんでもございませんって何?」 「お、俺はっ……‼︎」 今にも俺の事を食いそうな勢いで迫ってくる男を必死で押し除けようとしてみたが、全然力が及ばない。 焦りと動悸で頭の中と目が回り始める。 「俺は、ノンケなんですおろrrrrrrrr」 「あっ…」 そして俺は、盛大にゲロった。 「ゔぇ…え…」 「大丈夫?」 死にたい。

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