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第14話:邪な心
タクシーに乗り込み、俺の家の近くのコンビニで降りる事にした。飲み物と、あとはこのリーマン…太一が味噌汁が飲みたいと言ったので、インスタントの味噌汁を買ってコンビニから5分程歩いて俺のアパートに辿り着く。
『ふふんふ〜ん、まだまだ飲むぞいぞい』
『………』
部屋に入ると太一は部屋の真ん中でくるくると踊り始めた。
というか、なんか元気になってるし…。てか「ぞいぞい」って何。かわいすぎ。
『もう今日は飲まない方がいいよ』
『んだとぉ、俺はまだ飲み足りねぇ』
水を差し出すと、太一はそれを拒否して冷蔵庫のある方へと歩き出した。
足元フラフラだし、ここのアパート音響くから少し落ち着かせないと…
太一はベッドに寝かせるとして、俺は予備の布団敷いて…
『たい…』
『ありがとな』
布団を敷く前に太一をベッドに誘導しようとした時だった。
太一は冷蔵庫を開けた瞬間、ポツリと小さく呟いた。
『俺…ほんと…結構参ってて、さ…』
『………』
『やっぱり…まだどうしようもなく好きでさ…酒でも飲んでないともうずっと考えちゃうし……』
張り詰めていた糸が途切れるようにして、太一はぽろぽろと泣き始める。
『誰かと一緒にいる夜がこんなにも心強いなんてな……へへ』
ふにゃりと笑った瞬間、俺の中の何かが崩れる音がした。
『…っ、え?』
『ほんとさぁ…』
しゃがんでいた太一の後ろから覆い被さるようにして太一を見下ろす。
『あんたずるいよ』
『え…?あ……どうし…』
突然の事に困惑しているようだった。
無理もないか。
太一はきっと俺が親切心からここに連れて来たと思ってるんだろうな。
『ねえ、忘れさせてあげようか?』
馬鹿だな。俺はこんなにも邪 な気持ちでいっぱいなのに。
『忘れるって…ンッ⁉︎』
戸惑う太一を引き寄せ、キスをする。
抵抗しようと太一の体に力が入ったのがわかる。
『はっ、ぁ…ンぅ…っ…』
唇を無理やりこじ開け、舌を絡めると太一はびくりと震えた。
この反応……やばい、かも。
耳まで真っ赤だし、それにーー
『っん、ん…』
『…はぁっ…かわい』
太一の瞳に俺が映る。
多分、太一は久しぶりの誰かとの触れ合いだったのかな。
さらに顔を赤らめ、下を向いた。
『あ…ぇ…っと…』
キスしたら逆上するかと思ってた。酔いなんか覚めて俺を突き飛ばして、きっと逃げるだろうと。
『逃げないの?』
『………』
太一は何も言わなかった。
それが答えだと思い、俺は手を引きベッドに連れて行く。
『わかってる?今から何するか』
『…っ』
『……いいんだね?』
『…………』
押し倒し、ワイシャツのボタンを外す。その間太一はずっと手の甲で顔を隠していた。
小さく震えながら、時折物欲しげな目で俺を見つめる。
『口、開けて』
体の奥がぞくりと震えた。
俺がそう言うと、太一はゆっくりと口を開く。
『…んっ』
体は熱いのに、太一の口の中は冷たい。
『舌逃げないで』
『はっ、ア…んぅっ』
ほんとにいいのかな。きっと太一はノンケだろうし、やけ酒とはいえこんなに簡単に体を許してしまっても。
きっと起きたら後悔するんだろうな。
『すご…全身真っ赤』
『…っあんま…見んな…』
『なんで?もっと見せてよ』
『っ‼︎』
それでも、ごめんね。
この可能性を逃したくないかも。
『あっ‼︎…そこっ…は…』
『もしかして、ここ好きだったりする?』
『っ…ちが…』
『嘘。めっちゃ腰ビクビクしてるけど』
『あッ、う、…あ…っ』
乳首を指の腹で撫でると体が何度も跳ね上がる。
彼女はこんな事してくれなかったのかな?
なら、俺がいっぱい太一の知らない気持ちいい事教えてあげる。
『いい顔…もっと見たい』
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