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第15話:誘い誘われ、恋、嵐
アパートの前の道を、楽しげに歩く通行人の声が聞こえた。
春先の夜。暖かくなって来たとはいえ、夜はまだ肌寒い日がある。
そんな日に、肌と肌が触れ合うのはとても心地がいい。
『はぁ…あ…っ…ぅ…』
明日が休みでよかったと心底思った。
『気持ちい?』
『あ…わかんなッ…い…』
相変わらず恥ずかしそうに顔を隠す太一。フェラを続けてどれくらい経っただろうか。
イキそうになる度に止めて、なんで?と困惑する顔がたまらなくかわいい。
『あっ…も…む…無理だ、ってぇ…ちんこ…いた、い…』
『まだダメ、もうちょっと付き合って』
『うっ…く…は、ぁ…』
イッたら寝ちゃいそうだし、それにまだ全然……
『こんなんじゃ足りないだろ』
『ーーーっ‼︎』
後ろに手を回すと、太一はやっと手を退けて俺の方を見る。
そして口をぱくぱくとさせて目を見開いた。
『これは“彼女”じゃできないだろ』
『えっ…や、ま…』
俺を静止しようと手を伸ばすが、その瞬間に指をナカに入れると一層太一の体に力が込められた。
『力抜いて、じゃないと痛いよ』
『む、むりっ…そんなとこ…俺…っ』
『大丈夫、気持ちよくするから。ほら』
『っうぁ』
耳を舐めると強張る太一の体からふっと力が抜ける。奥まで指を入れて、ゆっくりと引き抜くを繰り返し、ほぐれてきたところで入り口に近いところを指の腹で撫でた。
『なぁ、気持ちい?ちゃんと言って』
『う、う…だから…わかんなッ…』
前立腺を見つけ、トントンと何度も刺激するとその度にビクビクと震える体。
太一はその快楽がなんなのか本当にわからない様子だった。
ほんとに何もかも反応が可愛くてたまらない。
最後までしたら、一体どんな顔するんだろう。
『わかんないじゃイかせてあげれない』
『ッ…わ、わかんない、けどッ…』
『けど?』
やば。俺ももうだいぶ限界なんだけど。
『気持ち…良すぎて…頭…ヘンなる…っ』
『っ……』
涙を溜めた太一が少し体を起こし顔を近づけてきた。
触れるだけのキスだった。
一瞬、びっくりして体が止まってしまう。
『もっと…』
『…太一?』
『忘れるくらい…めちゃくちゃにして…』
『っ‼︎』
そう言い、俺の指を舐める太一。
待ってよ。あんたほんとにノンケ?それとも酔ってるから?
そっちの才能あるでしょ。
『今ので完全にスイッチ入った』
『うわっ』
脱ぎかけだったズボンを脱がし、俺のを当てると太一の体が逃げようと動いた。
太一の体を引き戻し、今度は逃げないように体重を掛ける。
『ねぇ…どうする?』
『…っ』
その問いの意味が太一はわかっているようだった。
『このまま続ける?』
心臓の音がうるさいほど聞こえた。
太一のなのか、俺のなのか。
頬に触れると太一はまたじわりと涙を滲ませた。
瞳の奥には誰が写っているんだろうか。この瞬間だけでも、俺で満たしてあげられたらいいのに。
『いい…もう、全部忘れたい…』
頬から手を離そうとすると、太一が手を伸ばし体が引き寄せられた。
太一の言葉に、少しだけ胸の奥が痛む。
『挿れるよ』
『ゔッ…っ‼︎』
寂しさを埋めるためのセックス。
なのにこんな全身で俺を求めてるみたいに縋ってさ。
『ぅ……あ…っ』
初めてなのにこんな乱れまくっちゃって。
ああ。太一にとってのこの夜が、俺で良かった。
『……あんた可愛いね』
『あっ…!』
何度も強く腰を打ちつけ、やがてふたり同時に射精した。
息が切れて汗が吹き出る。
俺の下で虚になる太一にキスをする。抱きしめると、太一はゆっくりと目を閉じた。
ゆっくりと太一の中から俺のを引き抜くと、ナカに出してしまった精液が外に漏れ出す。
無性にムラッと来たけど、相当泥酔してたしもう太一も限界そうだったからそのまま寝かしてあげる事にした。
(ゴム…買っときゃ良かったな)
こんな日は初めてだ。
あって間もない相手に、こんな気持ちを抱くなんて。
『おやすみ』
目が覚めたら、一体どんな反応をするのかな。
こんな始まり方になっちゃったけど、これで繋がりが持てたなら俺はそれでいい。
『起きたら覚えてないなんて、無しだからね?』
『………グゥ』
そう言葉を落とすと、わざとらしい寝息が返ってきた。
太一が寝たふりをしてると気付き、思わず笑ってしまいそうになったけど、この時は気付かないふりをする事にした。
明日から楽しくなりそうだ。
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