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 朝になって、もう一度前日のメッセージのやり取りを見返した。  ただ学食に行くだけなのに妙に緊張していた。  学校に着いて、内心そわそわしながら知希を待って、お互い何でもない顔をしていつものように挨拶をしたりして、でも知希も普段より更に落ち着きがないように見えた。    授業は聞いておかないと、後で知希に訊かれた時に困るので気を引き締めた。それにしても時計が全然進まない。  やっと4時限目終了のチャイムが鳴った時、知希が俺を振り返った。 「行く?」と問うてくるような表情に、頷いて応える。 「知希、今日は?」  黒田が知希の席の方に歩きながら訊いている。 「学食!」  と応えた知希が立ち上がった。「ふーん」と言いながら黒田が俺の方も見た。 「あれ? 遠野今日弁当じゃねぇの?」    その黒田の問いかけに「ああ」と応えて教室の出入口へ向かった。  そして知希の横に並ぶ。 「なに、お前ら2人で学食?」  黒田の怒気を孕んだ声がして、知希が振り返りかけた。  あいつの声なんか聞くんじゃねぇよ  そう思って知希の肩に腕を回した。ちらりと振り返って見た黒田は完全に怒っていた。  黒田みたいにすぐ外されるだろうと思っていたけれど、知希はそうはしなかった。  途中で高橋が知希を睨んだのが見えた。  結局、学食の食券販売機の前まで、ずっと肩を組んで歩いた。  知希の耳が桜色に染まっていて可愛かった。  何を言っても上の空な感じだったけど、何を考えていたんだろう。  食堂で向かい合って座ると、先日の夕食を思い出した。  2人で食事ができたらそれだけで満足できると思っていた。  なのに目の前に知希がいると、どうしても欲が出る。 「唐揚げ、美味い?」  自分が知希の中で少しでも特別なんだと確かめたくなる。 「あ、うん、美味いよ」    顔を上げた知希に無茶を承知で言ってみた。 「一個、カツと交換しない?」  嫌って言うかな、さすがに。 「うん、する。オレここのカツ丼食べた事ない」  知希は素直に頷いた。 「あ、そうなんだ、ほら」  何でもないような顔で、知希の茶碗にカツをのせてやった。自分の箸で。  知希も俺の丼に唐揚げをのせた。  胸の中では心臓が忙しなくどくどくと鳴り続けていた。 「たまにはいいな、学食も」  予想以上に嬉しくて、照れ隠しに唐揚げを頬張った。 「美味いっしょ?」  と言って笑った知希が、いつもの何倍も可愛く見えた。  いっそ毎日学食でもいいな  それが本音

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