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脚を大きく開かされて喉が鳴った。
指とは違う硬くて大きなものをあてがわれる。開いた入口にその桐人の熱と一緒に少し冷たいものを感じた。でもそれはすぐに体温に馴染んで、そして桐人がぬるりと入ってくる。
「…あっ あ あ…っ」
ぞわっとする快感。押し開かれる圧迫感。求められる幸福感。
全部が一遍に押し寄せてきて処理しきれない。
「知希、大丈夫か? 痛い?」
桐人に目元を拭われた。
あれ? オレ泣いてる?
「だ、だいじょぶ…あ、…あっ」
ゆっくりと、少しずつ桐人が入ってくる。
身体の真ん中に空けられた空洞が埋まっていく。
目尻から涙が流れたのが分かった。
「…ほんとに平気か?」
覗き込むように訊いてくる桐人の息が乱れている。うん、うんと頷いて応えた。
ぴったりと身体がくっついてる。
自分の脚の間に桐人がいるこの体勢が、まだ信じられない。
信じられないけど、密着した肌と肌の間の蒸れた汗とか、お互いの荒れた息遣いとか、身体の中の桐人の存在は生々しくて、これは現実なんだと報せてくれる。
「…へい…き…っ。うれしい…だけ…。あっ、ん…ゲームオーバーだ…って、思ってた…から…」
「ゲームオーバー?」
訊き返しながら、桐人がゆっくりと動き始める。動きながらじゃ訊かれたって応えられない。
快感が腰から頭のてっぺんまで到達する。そしてつま先までビリビリと伝わっていった。
「…あっ あ きり…と…っ」
手を伸ばして桐人の頬に触れた。汗に濡れたその頬を両手で包んで引き寄せてキスをせがんだ。
身体を倒してきた桐人に啄むようなキスをされて、それじゃ足りないと首に腕を回して繋ぎ止めて舌を差し出した。
舌と舌を絡めて、脚を腰に絡めて、この人はオレのものなんだと思った。
ひとしきり息が上がるほどキスを交わして、桐人が再び動き始める。
自分の身体の内側が桐人に吸い付いてるみたいに感じた。
「…っく、やばい、お前そんな締めんな…っ」
「あっ、…や、わかんな…いぃ…」
止まれ、と脚を掴まれたけど、止まりたくないし止まってほしくない。
「やっだぁ、きりとっ、うごいて…っ」
広い背中に爪を立てて、腰を揺らしてもっととねだった。
「あー、くっそ、可愛いなぁもうっ」
そう言って目を眇めた桐人に激しく揺さぶられて、もう何も考えられなくなった。
先走りをこぼす先端が、桐人の硬い腹に擦れる。しばらく放っておかれたそれを大きな手で握られた。
「は、あっあ、きりと…っ、も、いく…っ」
だから一緒にいって、と目で訴えた。
「ん、俺もいきそ…っ」
そう言った桐人の顎から汗が滴り落ちてきた。縋り付く背中がびっしょりと濡れている。
一層激しくなった突き上げに頭が真っ白になって快感が弾けた。白濁が2人の身体を汚す。
その間もずっと揺さぶられ続けて、もう声も出せなかった。
最後に身体を強く圧し付けて止まった桐人が、覆い被さるように倒れ込んできて力いっぱい抱きしめられた。心臓の音と荒い呼吸がすごい。
汗でぐっしょり濡れた身体に手足を絡めて、このままいつまでも抱き合っていたいと思った。
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