10 / 31

第10話

「………榛名先生、霧咲先生のこと……」 「え?」 「や、なんでもありません!ささ、コップが空ですから何かお作りしましょうか?水割り?」 俺が座ってるテーブルのそばには、自由に飲めるように焼酎の水割りセット、お湯割りセット、日本酒なんかが置いてある。 「あ、じゃあ水割りで………ありがとうございます」 「はーい」 富永先生、さっき何を言いかけたんだろう。 あんまり頭が回らなくなってきた……。 でも、最低限のマナーだけはしっかりしとかなきゃ………。 「富永先生は?俺も作りますよ」 「私ウーロン茶なんで大丈夫ですよ~」 「え、ウーロン茶……今日飲まないんですか?」 「車で来てるものですから~」 「そ、そうですか……」 富永先生素面なのか………。 酔っ払いの相手、大変そうだなぁ。 「榛名先生、私は応援してますからね!いつでも相談してください、私は榛名先生の味方ですから!」 「はは、ありがとうございます」 応援? 応援って………何を応援してくれてるんだろう。 でも、少し嬉しい。 いや、だいぶ嬉しい。 「それじゃ、私はまたお酌回ってきますね!」 「はい、お疲れさまれす」 やば、舌回ってないじゃん俺。 もうそろそろ水飲もうかなあ……… そう思ったけど、一瞬気になる方に耳を済ませたら。 「霧咲先生お酒強いんですね~~~!!」 「顔色変わんないですよ、素敵~~~!!」 (……………) なんとなく俺は、水を飲むのをやめてしまった。 ゴクゴクゴク…… * 「榛名先生、榛名先生っ」 「ン………え?」 揺さぶられて、目が覚めた。 「大丈夫ですか。ほら、水飲んでください」 「き………」 霧咲先生!? 俺の目の前には、何故か焦った顔の霧咲先生が居た。 え、なんで? ていうか、ここって何処………? なんだか記憶が飛んでいる。 俺が今いる場所は酒臭い宴会場なんかじゃなくて、少しいい匂いのするお洒落な部屋だった。 あれ?飲み会いつ終わったんだ? 俺、どうやって帰ったんだっけ? いや、そもそもここは俺の部屋じゃないし! 「あ、あのっ、俺は一体…?それとここは…」 「榛名先生、潰れてたんですよ。一人でどれだけ焼酎飲んだんですか?ちなみにここは俺の家で、ここまでは富永先生が車で送ってくださいました」 え………… 「ええええっ!?」 「さっきだいぶトイレで吐かせましたけど、もう気分は悪くないですか?」 「ええええええ!?!?」 「落ち着いてください」 いや、いや、落ち着けるかっ!! 俺、俺は霧咲先生になんて迷惑を………!! 富永先生にも………いや、まさかそんな……… 嘘だろぉ―――っ!?!?

ともだちにシェアしよう!