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第10話
「………榛名先生、霧咲先生のこと……」
「え?」
「や、なんでもありません!ささ、コップが空ですから何かお作りしましょうか?水割り?」
俺が座ってるテーブルのそばには、自由に飲めるように焼酎の水割りセット、お湯割りセット、日本酒なんかが置いてある。
「あ、じゃあ水割りで………ありがとうございます」
「はーい」
富永先生、さっき何を言いかけたんだろう。
あんまり頭が回らなくなってきた……。
でも、最低限のマナーだけはしっかりしとかなきゃ………。
「富永先生は?俺も作りますよ」
「私ウーロン茶なんで大丈夫ですよ~」
「え、ウーロン茶……今日飲まないんですか?」
「車で来てるものですから~」
「そ、そうですか……」
富永先生素面なのか………。
酔っ払いの相手、大変そうだなぁ。
「榛名先生、私は応援してますからね!いつでも相談してください、私は榛名先生の味方ですから!」
「はは、ありがとうございます」
応援?
応援って………何を応援してくれてるんだろう。
でも、少し嬉しい。
いや、だいぶ嬉しい。
「それじゃ、私はまたお酌回ってきますね!」
「はい、お疲れさまれす」
やば、舌回ってないじゃん俺。
もうそろそろ水飲もうかなあ………
そう思ったけど、一瞬気になる方に耳を済ませたら。
「霧咲先生お酒強いんですね~~~!!」
「顔色変わんないですよ、素敵~~~!!」
(……………)
なんとなく俺は、水を飲むのをやめてしまった。
ゴクゴクゴク……
*
「榛名先生、榛名先生っ」
「ン………え?」
揺さぶられて、目が覚めた。
「大丈夫ですか。ほら、水飲んでください」
「き………」
霧咲先生!?
俺の目の前には、何故か焦った顔の霧咲先生が居た。
え、なんで?
ていうか、ここって何処………?
なんだか記憶が飛んでいる。
俺が今いる場所は酒臭い宴会場なんかじゃなくて、少しいい匂いのするお洒落な部屋だった。
あれ?飲み会いつ終わったんだ?
俺、どうやって帰ったんだっけ?
いや、そもそもここは俺の部屋じゃないし!
「あ、あのっ、俺は一体…?それとここは…」
「榛名先生、潰れてたんですよ。一人でどれだけ焼酎飲んだんですか?ちなみにここは俺の家で、ここまでは富永先生が車で送ってくださいました」
え…………
「ええええっ!?」
「さっきだいぶトイレで吐かせましたけど、もう気分は悪くないですか?」
「ええええええ!?!?」
「落ち着いてください」
いや、いや、落ち着けるかっ!!
俺、俺は霧咲先生になんて迷惑を………!!
富永先生にも………いや、まさかそんな………
嘘だろぉ―――っ!?!?
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