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第12話

「あ、あの…っ?」 突然のことに、理解が出来ない。 何?今、俺、霧咲先生に頬舐められ…っ? 何で?俺が泣き止まないから? びっくりして涙なんか止まった。 っていうか…いや、なんで? 頭が全然働かない。 だって、こんな近くに霧咲先生の顔がある。 「ふふっ。本当に可愛い人ですね、榛名先生」 「ンンッ!?……ふ…ぁ…っ」 だってこんなの、……夢だ。 「チュ…チュクッ…」 俺は今、夢を見てるんだ…。 霧咲先生とキス、してるなんて。 夢だな、こんなの。夢に決まってる。 やけに感覚が生々しいけど、俺が霧咲先生のことを好きすぎるせいで妄想が具現化しちゃったんだ。 なるほど………納得。 「ンふっ……チュッ…チュル……」 たまにはベロンベロンに酔っ払うのもアリかな。 こんなに幸せな夢が見れるんなら。 夢ならもっと、大胆なことがしたい…。 俺はそっと手を伸ばして、霧咲先生の首にギュッと抱きついた。 そして自分からも舌を伸ばして、霧咲先生の舌を積極的に追いかけ、絡ませた。 すると霧咲先生のキスはますます激しいものに変わり、飲みきれない唾液が俺の顎を伝って落ちた。 「んちゅっ……ふぁっ……レロッ…」 耳も抑えられてるせいか、頭の中にグチュグチュという音が響いておかしくなりそう。 こんなに気持ちいいキス、今までしたことない。 もっとして欲しい……。 「チュッ……榛名先生、意外と大胆なんですね」 「はっ…霧咲先生、もっとぉ……」 「……もっと、ですか?本当にたまらないな…」 「ンンッ」 ドサリと押し倒されて、再びキスされる。 都合良く後ろがベッドか。 うん、本格的に夢決定。 俺は大きく口を開けて、霧咲先生のキスに応えた。 頭も激しく掻き抱いて、必死に求める。 もっと、もっとください。 霧咲先生、霧咲先生……… 「……はあ、なんて可愛いんだ榛名先生…!俺はもう我慢しませんよ、今から貴方を抱きます」 抱く? 何それ、嬉しすぎ。 霧咲先生が男の俺を抱きたいなんて、なんて幸せな夢なんだろう。 でも、夢ってどこまで出来るのかな。 その前に俺、セックスしたことないんだけど。 経験がなくてもうまく妄想できるだろうか。 まあいいや、出来るところまでで。 こんないい夢、もう二度と見れないだろうし…。 「……抱いて、ください……」 「ふふっ……素直で可愛いですね」 あ、そうだ。 「でも、俺…今までセックスしたことないから、出来たら優しくしてください……」 夢だけど、注文付けたら都合良くウマくしてくれないかなー、なんて。 「……初めて?……女性経験も含めてですか?」 「無いです……」 夢だから、童貞告白しても全然恥ずかしくない。 夢ならヒかれることもないだろうし……。 「…………」 ヒかれ……てない、よな? 「……優しくするし、これからも大事にします」 あー良かった! やっぱり夢って最高だなぁ………。

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