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第23話
結局、その日は帰ってシャワーを浴びたあと、ずっとベッドの上で膝を抱えて過ごした。
貴重な週末の休みなのに、何もする気が起きなくて。
次の日の日曜日も同じような過ごし方をした。
水と、家にあるものだけ食べて…
結局月曜の朝になるまで、ロクに眠れなかった。
特に昨日は、今後の身の振り方まで考えてたらなんかだんだん目が冴えてきちゃって。
でも出勤時間を迎えた今は、眠たくて仕方がない。
病気してないのに休むわけにはいかないから、ちゃんと行くけど。
霧咲先生に、会いたくないな…。
*
「榛名先生!おはようございまーす」
「と、富永先生。おはようございます。あ…土曜日はすみませんでした…」
職員室に入ると、一番に富永先生に元気に挨拶された。
教師たるものこうでなくては、っていう見本みたいな挨拶だ。
そして富永先生には迷惑をかけたから、電話で謝罪でもお礼でもしておくべきだったのに、顔を見て思い出してしまった。
ダメな社会人だな、俺って…。
「いいえーお気になさらず!それより…あの夜どうなりました?霧咲先生と。私には聞く権利ありますよね?ねっ?ねっ!?」
「えっ…と…?」
富永先生はグイグイと俺に迫ってくる。
権利って…あ、送ってあげたからってこと?
あれ、俺、富永先生に自分の気持ちバラしたっけ?
あんまり覚えてないんだけど…。
もしかして、飲んでる時にやっちゃったか。
「うまくいったんですか?」
「いや…」
というか、富永先生的にいいんだろうか?
俺と霧咲先生がうまくいくってことが。
別の女性とくっつくよりは男の方がいいのかもしれないけど、今いちファン心理ってものがよく分からない…。
すると。
「おはようございます、富永先生、榛名先生。朝から楽しそうですね?」
「あら霧咲先生、おはようございますー!」
ビクッ
俺たちの後ろから、噂の(?)霧咲先生が普段通り、爽やかに登場した。
でも俺は…
「お、おはようございます」
一瞬目が合ったけど、あからさまに逸らしてしまった。失礼極まりない…。
すると、霧咲先生の方から俺に近づいてきた。
「榛名先生、目にすごい隈ができてますけど…寝不足なんですか?」
「ちょ、ちょっと本に夢中になってまして!」
せっかく霧咲先生が心配してくれてるけど、顔が上げられない。
霧咲先生の顔が見れない。目を見て話せない。
富永先生は少し不思議そうな顔で俺を見てる…気がする。
この空気、かなりいたたまれない…。
「お…俺、腹の調子が悪いので朝礼が始まる前にトイレに行ってきますね!」
逃げよう!
うん、それがいい!
俺は俯いたまま霧咲先生の隣を駆け抜けて、職員用男子トイレに駆け込んだ。
なんかホントに少し腹痛くなってきたかも…
土日、ろくなもの食べてなかったのに。
だからかな…。
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