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第25話

一度職員室に戻って出席簿を取りに行き、そのまま受け持ちの教室に行って出席を取った。 相変わらずうちのクラスの子たちは俺の体調と顔色には敏感なようで、また数人に心配されてしまった。 一応笑顔は見せていたのだけど、逆に痛々しい、なんて言われてしまって。 受験生の生徒達にまで心配かけるとか、本当に俺って情けない大人で情けない担任だ…。 * 「…ハア…」 とりあえずまだ胃はキリキリと痛むけど、午前中の授業は全部気力で終えた。 昼休み、今日はコンビニに寄ってきてないしので校内の食堂に行くことにした。職員室にいたら、どうしても霧咲先生のことが気になってしまうし…。 恋人はいないって言ってたけど、あれも俺の夢じゃなかったのかな? ずっと夢だと思ってたから、現実との境目がいまいち分からない…。 (昼ごはん…きつねうどんにしよ…) 胃に優しいものが食べたい気分だった。 食券を生徒の行列に並んで買って…すると、後ろから肩を叩かれた。 「榛名せんせーじゃん!食堂とか珍しい!」 「あれ、堂島くん。…君も食堂なの?」 いつも教室で騒がしく食べてるイメージがあった。 「かーちゃんが今日弁当作ってくんなくってさー!食堂で食えって」 「まあ、お母さんだってたまにはお弁当作り休みたい時あるよね」 俺は作ったことないけど。 「それより先生、うどんとか食って、まだ腹痛ぇの?大丈夫かよ」 「うん、大丈夫」 「ほんとかよー?あとで保健室行けば?」 「そうだねぇ、薬だけはもらってこようかな…」 貰うのは勿論、胃薬だ。 そして何故か堂島くんと並んで座って昼食を食べることになった。 友達と一緒に食べなくていいんだろうか…。 そう聞くと、「だって榛名先生とのお昼の方が貴重だし!」だって。 普通生徒は、教師と休み時間まで顔を合わせたくないものだと思っていたけど…。 堂島くんは俺の隣で大盛りのカレーライスをほおばりながら遠慮なく話しかけてくる。 「なー榛名先生、腹イタ治ったらさー、放課後でも勉強教えて欲しいんだけど」 「え、勉強?いいけど…現国でわかんないとこ?」 「いや、化学!」 「化学ぅ?それは専門の南條先生に聞きなさいよ…俺に化学は教えられないよ?苦手だったしさ」 「でも先生じゃん!分かるとこだけでいいからさー、南條先生超こえぇんだもん。分からないとか言ったら絶対虫けらを見るような目で見てくるんだぜ!」 「それは…思い込みだよ…」 生徒が質問に来たら嬉しいと思うけどな、多分…。 でも俺も化学ってホントに苦手だったんだけどなぁ…大学も文系だし。 ま、そんなこと言ってられないか。 いざとなったら南條先生を召喚しよう。 「…じゃあ、とりあえず見るだけね。わかんなかったら許して」 「やった!じゃ、放課後教室で」 「教室は結構みんな残ってるから集中できないよ?第二指導室がいいよ、空いてるから」 「ほーい!」 俺は堂島くんとそんな約束をして、昼休みを終えたのだった。

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