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その後のふたり

 アンドレア様の誕生日パーティーのあとで告げられた愛の告白について、本当の意味がわかり、驚愕してしまったのは仕方のないことでしょう。 『おまえに窘められて、凹むくらいに叱られて、たまに褒められなきゃ、俺は生きてる意味はない』  しかも私限定という点において、そこにリアリティを感じてしまったのは、惚れた弱みなのかもしれません。  あのあと、たくさんの誕生日プレゼントをいただいた次の日から、予定どおりにアンドレア様は寝込まれた。  病人とは思えない幸せに満ち足りたお顔を、あえて指摘せずにスルーいたしました。まぁ三ヶ月も寝込めば、その状況に飽きて、しまいにはふて寝を決め込むのがわかります。  その間に私は、自分のできることを率先しておこなう。  まずは伯爵様に謁見し、アンドレア様を次期当主の座を退かせた理由をお聞きすることと、大切なご令息を私のような者が面倒を見ていいのか、きちんと話し合う必要がある。  それが終わったら南方に赴き、古城のメンテナンスにかかる費用の概算を出す。そしてリーシア様に謁見し、援助をしていただけないか、頭を下げなければならない。  アンドレア様の個人資産は、正直なところたかが知れている。古城のメンテナンスと生活費を考えたら、あっという間に消えてしまうであろう。我が子のようにアンドレア様を愛でているリーシア様なら、二つ返事でOKしてくれる見込みで援助を頼む。  アンドレア様が第二の人生を有意義に送っていただくため、リーシア様の援助をもとに、新たなビジネスをはじめるべく、専属執事兼恋人である私は、これから頑張らなければならない。  だって愛するお方が私を手に入れるために、華やかな表舞台から退き、今回の計画を企てたのだから。 「まずは書斎のキャビネットから、指定された書籍を取り出して読み漁りつつ、伯爵様とリーシア様との話し合いの内容をまとめましょうか」  気怠い躰を抱えつつ、愛する人とひとつになれた幸せをしっかりと噛みしめながら、自分の仕事に従事したのだった。

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