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触れられる理由をちょうだい①(6)
外からは電車が到着する音がしたけれど、終わったばかりで急かすこともできないしで乗ることを諦めた。
男性は相変わらず泣いているし、これ以上追いつめるよりも自分が一限目の授業をサボる方がよっぽどいい。彼の仕事はどうかは分からないけど、落ち着くまで傍にいてあげたいと思った。
「電車、二十分ごとには来るみたいですし、次のに乗りましょう。それまで……って、」
手の中に吐き出されたそれと、男性の体を拭いたほうがいいからと一旦座らせると、出したはずなのにまた少しだけ起きあがっていた。
本人もやっと解放されたと思ったはずなのに、体は言うことを聞いてくれないなんて……。
出されたものも濃かったからしばらく抜いていなかったのだろう。久しぶりにそういうことしたせいで単純に反応してしまったのだろうか。
「……これ、また俺が触ってもいい?」
「っ、」
「ねぇ、もうさ、痴漢されて勃ったちんこの処理って考えるのやめようか。それだからあんたもモヤモヤしてるわけだし。痴漢されたことは忘れられないだろうけれど、今は単純に俺と気持ちいいことするためにトイレの個室に入った、だから今から二人で気持ちいいことをする、ってことにしようよ」
肩に掛けていた鞄を背中に回すのをやめ、トイレの荷物掛けに置いた。座っている男性の手を引き立たせると、くるりと反対を向かせて背中から包み込むように抱きしめる。それからもう一度熱を持ったそれを握った。
指を上下させ刺激を加える。カリから亀頭に沿って作った輪を狭め、頭頂は手のひらですっぽりと包んだ。それを繰り返すと完全に勃ち上がり、気持ちいいのか男性の腰が動く。
「ねぇ、名前は何て言うの?」
「む、ぎし、ま……っ、」
何となく聞いたその質問に、迷うことなく男性が答える。こういうことをされているのに、その相手に教えてしまうのだからどれほどいっぱいいっぱいなのかがよく分かる。
「むぎ、しま……? 聞いたことないなぁ。でも可愛いね。麦ちゃんか……」
「っはぁ、」
「気持ちいいこと、楽しいこと。今はそれ以外何も考えないで。恥ずかしいことじゃあないよ、だって俺が触ってるんだから。勃つのも当たり前だよ」
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