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溶け出た熱と、甘く黒い痛み。(3)
彼に跨がり、ズボンを脱ぐと自分のと合わせて擦った。咥えながら勃っていた自分のソレからは先走りがこぼれ落ち、彼のお腹へと垂れた。それを指先で掬い、自分の秘部へと指を入れる。
痛いし、異物感がたまらなく気持ち悪いけれど、そうでもしなければ今だけ彼を自分のものにすることはできない。
「酔ってしていいことじゃあないって。佐久間、後悔するよ」
「酔ってない! 後悔しない!」
「佐久間っ、」
「ってぇ、」
もどかしくて、もう無理にでも入れてしまおうとしたけれど、裂けるような痛みが襲い、先っぽすらも入らない。それでもと押し込もうとした時、勢いよく起きあがった有澤に押し倒された。今度こそ本気で抵抗されて、軽蔑されるんだ。唇を血が出るくらいに強く噛みしめる。
「慣らしてないのに入るわけないやろ。お前が痛い思いするだけよ? 血、出てきたやん。何でこんな自分を傷つけるようなことをするとね」
相変わらず怒りが伝わりにくい口調だけれど、聞いたこともないくらいに低い声で、それが怖く思えた。でも出てきた言葉は怒っているというよりは俺を心配しての言葉で、その優しさに涙が溢れた。
「そんなの、好きだからに決まってんだろ! 片想いで我慢できてたのに、お前が、彼女作ったから、だからっ、」
勝手なことをしてごめん、好きになってごめんと、今更ながら罪悪感が湧いた。
後悔するかしないか、俺だけの問題じゃあないのだ。これっきりにする覚悟だとか、それも全部俺の勝手だ。
有澤は俺のことを考えてくれているのに、俺は嫌になるほど自分のことしか考えられていない。
今だってこうして気持ちをぶつけて泣くことしかできないだなんて。
「ちょっと待って、佐久間、俺のこと好きやと? って、さっきも変なこと言よったけど、俺、彼女おらんよ」
「だって、昨日っ、可愛い女の子とっ」
「え、昨日……? 昨日? あっ、それは兄貴の奥さんだ。帰り道に偶然会って、兄貴のこと色々話してたから。確かに可愛い人やけど、何がどうなっても彼女ではないし、それ、みんなの勘違い」
「……え?」
「それであんなにお酒飲んで、こんなことまでしたっちゃね。お前、俺のこと好きやったのか……」
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