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6.「躊躇なく」*真奈 ※

「――――……何をすれば、オレが許してやるか分かってるだろ?」  オレの唇に、親指で触れてなぞりながら、俊輔がオレを見下ろす。  初めて会った時言われた、「オレのモノ」。  こんな意味だなんて、絶対、あの時の周りに居た誰も、分かってなかったはず。 「――――……」  さっき、あれだけしてたのに。  アルファって、皆こうなのかな。  確かに、性欲が強いって、聞いたことはあるけど。  その性欲を――――……オレに向けなくたって、俊輔なら、相手なんか他にいくらでも居そうなのに。 「……真奈?」  促されるように、唇から頬に指が滑る。 「――――……」  一度唇を噛みしめてから、オレはひざまずいて、俊輔のバスローブをゆっくりと開く。目の前にあるそれを、大した躊躇もせずに、オレはそれを口に含んだ。 「……ん……ん……」  オレ、決して、巧くはないと思うんだけど。  それでも俊輔は反応して、口の中でそれは大きさを増していく。 「……っく… ふ…」  時たま、むせそうになりながら、それでも早くイッてもらおうと、愛撫を繰り返す。 「――――…っん…っ…」  口に含みきれない部分も、舌や指で刺激していく。  初めは絶対に出来ないと思っていたこんな行為を、大した躊躇もなく、できるようになってしまった。  その事に、自分で少し呆れる。  耳に届く俊輔の息づかいが少し荒くなってきて、頭を押さえつけられる。  俊輔ので、上顎をなぞられて、ゾクリとしたものが、頭を支配する。  いつもそれが、合図だった――――…。 「――――…ッ……」  欲を、放たれて。飲み込むけれど、けほ、とむせる。  長い時間、口に入れられていたそれが、ゆっくりと引き抜かれた。 「……っ……」  口で放たれたそれにはどうしてもむせてしまう。  口内と喉に絡みつくそれを何とか飲み込んでしまおうとしていた。その時。 「――――……っ?」  俊輔がオレの腕を掴み、引き上げた。   「……しゅん、す……?」  そのまま また壁に押し付けられる。 「……痛……っ……何……」  俊輔の指が、不意にオレ自身に触れて、絡み付く。 「……ぁ……や……!」  オレのぎこちない愛撫とは、違う。  的確に感じる所に触れられ、扱かれ――――…簡単に、俊輔の手に落ちた。 「……あ……ぁあ……っ……」  さっき抱かれていた時の感覚が、あっという間に身体によみがえる。  「………やだ……ん……っ」    俊輔はその指を、オレの中にゆっくりと、挿し入れた。 「あ……ッ…!」  ……もう今日は、嫌だって――――…っ…!  心の中で叫ぶけれど、それでも口から漏れたのは、耳を塞ぎたくなるような、甘い声、で。 「んん……ンぁ……」  小刻みに動かされて、意識が飛びそうになる。ぐっと、堪えていると。   「……イけよ」  背けた耳の中に舌を入れられて、囁かれると、ぞくりとした感覚が背筋を駆け上がった。  オレは、耐えきれずに。  またしても。意識を、手放さなければならなかった。  

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