51 / 136

20.「ありえない」*真奈 ※

「下から。全部な」  ……下から?  ……うぅ。 何か、変なヤラシイ雑誌の女の子とかと勘違いしてね? オレ男、だけど。  逆らっても全然良い事がないのは分かってるので、思い切って、潔く脱いでいく。  どーせどーせ、いつもいつも、全裸をさらしてるんだし、今更だし……。  そんな投げやりな気持ちも、浮かんでしまう。というか、そうならないと、脱げない。  下着も靴下も全部脱いだ。シャツが長いから、まだあんまり見えないのは救いだけど。  仕方なく、着ていたシャツのボタンにも指を掛ける。ボタンを上からいくつか外した所で 俊輔が近づいて来た。 「え?」  ぐい、と手を引かれて歩かされ、辿り着いた先はベッドだった。  ……お風呂って言ったじゃんか……。  そう思いながら、ベッドの端に腰掛けさせられて、立ってる俊輔を仰ぐ。 「ボタン全部、外せよ」  外そうとしてたのに、邪魔したの俊輔じゃんか。心の中でひたすらブツブツ言いながらボタンを外し始めると。俊輔が不意に、オレの前に膝をついた。 「え」  開かされた脚の間に俊輔が割り込んできて。  驚いて動けずにいると、シャツの下の方のボタンは俊輔に外されて開かれた。 「……え、あ――――……や……!」  俊輔が下に顔を寄せてきたと思ったら、いきなり、口に含まれた。 「……っや……なに……っ」  何なんだ、何なんだ、ほんとに……!  愛撫されて、ぞくん、とした快感に腰が震える。 「あ、や……やめ……」 「――――……」  俊輔の髪に触れて、きゅ、と握ると。  目を開けて、俊輔がオレを見上げた。  ……それを、くわえたままで。 「……っ!」  どんな感覚なのか自分ですら分からなかったけれど、一気に快感が強まった。  俊輔はそこから唇を離すと、ふ、と笑んだ。 「いいぜ、倒れてて」  とん、と肩を押されて、背をベッドに沈められる。  首筋に舌が這う。今は指で愛撫されてるそれは、反応して震える。 「っ……ん、く…… ッ……」  首筋から徐々に下りていく舌が、胸に触れて、噛まれる。  ゾクゾクして、声が、止まらない。 「……真奈?」 「……っ……ン ……?」 「……反応、すげえな……」  言われて、ぐり、と刺激されて。意味が分かった途端、カアッと赤くなる。  絶対絶対絶対。  ……恥ずかしい事を、わざとやってる。  脇腹を伝って下りていった舌が、またソレに絡みついて。  唇を噛みしめるしか、出来なくて。……手に触れるシーツをたぐり寄せて握りしめる。 「……んっ……ん……!」  先走りで濡れた指が後ろに触れて、ゆっくりと中を探られる。  震える体は、うまく押さえつけられていて、どうにも動かせず。 「――――……ふ、あ……っ」  次第に指を増やされて。どうしようもない快感に、抗えなくて。  首を振って、それから逃れようとするけれど、無駄な抵抗でしかない。 「……っっ……!」  中を擦られて、大きく体が震える。それももう止められない。  後少し続けられたら、達してしまいそうな。  その時だった。  コンコンコンコン、と、扉がノックされた。  びくっ、と体が震えて、強張る。 「俊ー」  さっきの、彼女の声がして。涙目を見開いて、強張ってるオレを見て、俊輔はにや、と笑った。 「真奈。……ここ掴んで 絶対イクなよ。 そのまま待ってろ」 「……っ」  自分のモノを根本で握らされて、あんまりな仕打ちに、涙が浮かんでくる。  あり得ない こんなの…。  そうは思うのだけれど。 「絶対、離すなよ。すぐ戻る。離したら……一晩中、すげえことさせるぞ」 「……ッ……」  そんな風に囁いて離れていった俊輔に、すごい事が何なのか考えるのも恐ろしくて、ただその体勢のまま、強張るしかできない。 「俊、開けてよ」  鍵が外されて、扉が開いた音がする。  まさか中に入れる気じゃ……。  本格的に泣きたい気分になる。  

ともだちにシェアしよう!