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45.モヤモヤ……?
「ふー……」
これでいいかなぁ……。画面をスクロールして、一番上から、レポートを読み直す。ざっと目を通して、手をマウスから放した。
とりあえず、これも終わり。
――まあ、なんとなく、出せばいいって感じで、これで成績がつくわけじゃないし。終わりにしよ。
んー、と腕を伸ばして、首を回した。その時、ノックの音がした。
「真奈さん、コーヒー、飲まれますか?」
「あ。ありがとうございます」
そう言うと、西条さんがトレイを手に、中に入ってきてくれた。机にカップを置く。
「冷たいお茶や水は、冷蔵庫に入ってますので」
「あ、はい」
コーヒーの良い香りに、ふ、と息をついた。
「コーヒーメーカー、おひとり用のものを明日は用意しますね」
「あ、はい。ありがとうございます」
「客間で使用してる部屋なので、過ごすのに不都合は無いと思うのですが、何かきづいたら言って下さいね」
「分かりました」
頷きながら、立ち上がって、窓から外を見上げた。
もう真っ暗。
「俊輔たちは、まだ飲んでるんですか?」
「今はテレビをつけて、ソファに座ってますよ。まだ飲まれてましたね」
「二人とも強いんですね……」
時計を見ると、もう、二十二時を過ぎていた。
あ、意外と時間経ってる。
「瑛貴さんって、どこで寝るんですか?」
「一階にある客室に泊まられますよ」
そっか。じゃあわざわざ二階は来ないだろうから、会わないか。なんとなく、ちょっと安心。
「コーヒーは飲んだら、そこの流しで片付けるので……あと、もうお風呂入って寝ようと思います。すみません、一日、いろいろありがとうございました」
そう言うと、西条さんはクスッと笑った。
「分かりました。お二人にはそうお伝えしておきますね」
「はい」
おやすみなさい、と西条さんが出て行った。オレは、パソコンを閉じて、コーヒーを持って、ソファに座りながら、テレビをつけた。
「――……」
ニュースを見ながら、一口、コーヒーを飲む。
変な感じ。ここに、一人で、居るの。
――あと一週間、これ。続くのか。
いつも俊輔と二人だと、話すことが見つからないとか。ちょっと気まずいとか色々思っているのに。
なんか、今は、変な感じがする。
なんかちょっと、モヤモヤした気分で、首を傾げる。
コーヒーを早々に飲み終えて、カップを片付けると、シャワーを浴びた。
……お風呂、ゆっくり入ろうかな。
なんか、暇だし。と、湯船にお湯をためて、のんびりとつかる。
「――きもち……」
声がなんか響いて。静けさを余計感じる。
お湯のなかで膝を抱えて、顎をお湯につけて、ふ、と息をつく。
何がモヤモヤしてるんだろう……。
俊輔の部屋を出てた方がいいっていうのは、絶対そうだと思う。あの子みたいに責められはしないだろうけど、そういう関係だなんて知られないほうが、絶対良いと思うし。
……何だろうなあ……。
オレは、今、なんでこんなに――変な気分なんだろう。
ため息をついてしまいながら、湯船を出て、シャワーを浴びる。ドライヤーで髪を乾かして、歯を磨く。
まあ、とりあえず。もう寝ちゃおう。
なんか、ずっとこもって、レポートをやりすぎていたから、なんか気持ち的にちょっともう疲れちゃったのかもしれない。
ベッドに入ろうと思って、一応鍵を掛けておこうかなと、ドアに近づいた、その時。不意にこん、とノックの音。
西条さんかな。と思って、「はい」と言うと。
「真奈?」
「――俊輔?」
びっくりして、トアを開けると――俊輔が、入ってきた。
――なんだか、どき、と。心臓が。
「寝るとこだったか?」
「――俊輔は?」
「今瑛貴がシャワー浴びてて――」
うん、と続きを待っていると。
不意に、頬に、俊輔の手が触れた。
心臓が、なんか――……ちょっと痛い。
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