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11/5 ペンタス
花言葉 希望が叶う 願い事
俺の好きな人は人気者だ
物静かで落ち着いていて一見クールに見えるが笑った顔がすごくかわいらしい。
本人が無口なこともあり、直接話に行く隠れたファンが多く遠巻きに見つめられていることが多い。隣の席だからと言って紹介しろだとか物を渡して欲しいだとか言ってくるやつが後を立たない。今も少し席を経ったらわらわら集まってきやがった。俺だってみたいに声かけられるようになるまで時間かけたんだからそう簡単に手助けなどしてやるものか!まぁ彼のことを狙っているのを知っているやつらはなかなか勇気を出せない俺を茶化しにくるんだけども…
今回も集まってきた奴らを軽くあしらって席に戻るとなぜか彼がため息をついて机に突っぷしていた。あー今日もかわいいなぁ。つい彼の頭に手を伸ばして触れてしまったが嫌がることはなく振り払われることもない。この立場と隣の席を誰にも渡したくなくて方方から来ている話を断っているのだ。
「どした?でかいため息ついて」
「…なんでもない」
「なら、いいけどさ、なんかあったら話くらい聞くから遠慮なく言ってくれよ。同期なんだし」
そう言って笑いかけるとこちらを凝視してまた机に倒れ込んだ
「はぁ…」
「本当に大丈夫か?熱とかないよな。ちょっと触るぞ」
もしかして体調が悪いのかと心配になり額に触れて熱がないか確認する
「ん…きもちい…」
目を細めてなんともエロい声をだされたのに驚いて手がびくりと反応してしまい額を叩いてしまった
「っ?!?!」バシッ
「あだぁっ?!」
「わっ悪い!大丈夫か?!」
わざとじゃない!わざとじゃないんだ!!そんなジト目で見ないでくれ。嫌われたりしたらメンタル崩壊する…
「うん…だいじょぶだから仕事しろ」
「お、おう…ほんとごめんな」
「別にいいから」
どうやら、怒ってはない?みたいで一安心。
お互いに自分のデスクに向き直って仕事を再開したがさっき叩いてしまったところが跡になっていないか気になって仕方ない。可愛い顔に跡つけたなんてそんなことファンに知れたら殺される。それに何より罪悪感がすごい。
そうだ、お詫びってことでランチ誘ってみるか。いつもどこかに行ってしまうから休憩になったらすぐに声かけよう。よし!そうしよう!
★☆☆☆☆☆☆☆☆
「んー…休憩するかー」
隣から声が聞こえてきてすぐに自分の席から立ち上がり深呼吸を一つしてから話しかける
「昼、一緒にどうだ?さっきの詫びでなんか奢らせてくれないか」
よし、自然な感じで誘えた。あとは色良い返事が返ってくるかだけど…
「別に気にしなくていいって言ったのに、でも、まぁ奢ってくれるっていうならお言葉に甘えようかな」
「ほっほんとか?!いつも昼になるとすぐにどっか行っちまうから誰かと一緒にとかは嫌なんだと思ってた」
「別にそういうわけでは」
そうなのか。てっきり一人で静かに過ごしたいのかと思っていたからこれまで声かけるかずっと迷っていたんだが
「じゃ、じゃあ、これからも誘っていいか!?」
「え、それはいい、けど。お前目当てで誘いにきてた奴らから恨まれそうだなー」
いや、違うぞ。あいつらは俺ではなく君目当てでここに来てるんだけどな。まぁ俺もそのうちの一人なのは否定しない
「大丈夫大丈夫。そもそもあいつら俺目当てで来てたわけじゃないからさ」
「は?それってどういう」
「まぁ!そんなことはどうでもいいから!さ!他の奴らがくる前に行こうぜ!」
「ちょっまっ引っ張んなって!」
こんなとこ見つかったら絶対に邪魔が入る。そう思い少し強引に腕を引いて前々から一緒に行くならと決めていた店まで向かった。
今日はなんて最高の日なんだ!!
ランチ中スマホのメッセージがやたらうるさかったが誰にも邪魔されるものかと即マナーモードに切り替えた。
あとで確認したら俺の気持ちを知る者たちからの祝福の声がやたら届いていて、とりあえずありがとうとだけ返信しておいた。
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