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11/6 フジバカマ

花言葉 やさしい思い出 あの日を思い出す ためらい それは幼い頃の淡い記憶 夏休みになると毎年母方の祖父母の住む田舎に遊びに行っていた 都会とは違う視界いっぱいに広がる緑や涼しげなせせらぎ そして、いつも一緒に遊んでくれた白いTシャツに映える小麦色の肌をした隣のお兄ちゃん 外遊びに慣れていないオレの手を引いていろいろな場所に連れて行ってくれた。新鮮な体験ばかりで最初は暑いし虫がいるしと嫌々だったオレも回数を重ねるごとに遊びに連れ出してもらうのが楽しみになっていた。なによりもお兄ちゃんと一緒にいられるのが幸せだった。小さい頃は分からなかったけれど、今思うとあれが初恋だったのだと思う。 しかし、中学に上がった頃にはお兄ちゃんは大学生になっていて夏休みに祖父母の家に行ってもタイミングが合わずに会うことができない夏が続いた。そんなこんなでこの気持ちを抱えたままいつの間にか高校生になっていたというわけである。 「なるほどなー。それで今まで誰に告白されても断ってたわけね」 「そゆこと」 放課後の教室、告白の呼び出しから帰ってくるのを待っていた友人になんであんな美人を振ったんだ!?と喚き散らしたので昔話をしたところだ 「いやぁ、一途だねぇ。まぁ相手男だけど」 「うるせー。男とか女とか関係ないんだって、あの人だから好きになったんだよ」 「ひゅーひゅー熱いねー」 「人の純情を茶化すんじゃねー!」 「ははっ、あ、でもさ、そのくらいの歳の差だとちょうど大学卒業して地元に帰って就職してたりとかするかもな」 うちのねーちゃん就活だ卒論だとか言ってたしなと、確かに、オレがこうやって歳を重ねているということは同じだけお兄ちゃんも… 「帰ってじぃちゃんとばぁちゃんに電話してみる!!!」 「おー!気をつけて帰れよー!」 手を振る友人に見送られ自宅への道を駆けていく 今年の夏休みはもしかしたらお兄ちゃんに会えるかもしれない! そう思うだけで心臓がいつもより早く脈打つ 帰宅後ドギマギしながら祖父母に電話すると 『あら、お隣の息子さん?学校出て戻ってきてるわよ?』 あっけらかんとした返事が返ってきた 『そういえば、すごく懐いてたものねぇ。大学いっちゃってからは会えなくて、こっちきてもずっと拗ねていたわね。まるで大事なものを取られちゃった小さい子みたいで可愛らしかったけどねぇ』 「ちょっばぁちゃん!?」 『ふふふふ、今年は会えるんじゃないかしら。家のお仕事手伝ってるみたいだしねぇ。』 「それほんと?!」 『ええ、うちもたまにお手伝いしてもらってるしねぇ。ほんと助かるわぁ。あ、そーだわ。ちょっとおじーさん!』 電話口で祖母が叫ぶと遠くから祖父が返事したのが聞こえた 『今からお隣さんと飲みにいくんでしょー?うちの孫が大好きなお兄ちゃんにまた会いたいってぐずってたって言っといて〜』 『お〜任せとけ〜』 「ばぁちゃん?!?!?!あとじぃちゃんも伝えなくていいから!!!」 『おほほほほ、もう行っちゃったわよ〜』 それはそれは楽しそうでわざとらしい笑い声が向こうから聞こえてくる 「マジか…」 『今年もちゃーんと帰ってくるのよ〜。ママにも絶対連れて帰ってくるように伝えとかないと!ふふふ。』 「ばぁちゃん…」 このあとるんるんの祖母から電話を受けた母にも揶揄われたのはいうまでもない

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