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11/13 アンスリウム

花言葉 恋に悶える心 煩悩 「よし!やりますか!!」 大学から帰宅してヘッドセットを装着しゲームにログインする 最近ハマっているVR型のRPG ゲーム自体の自由度が高くやり込み要素も満載でハマる人はメチャクチャ沼ってしまうと巷で噂になっている おれもそのうちの一人なんだけど 確かにやり込みがいがあってのめり込んだのが始まりだったが今は他にも目的がある 「もう来てるかな」 そう、ゲーム友達に会いに来ているのだ!リアルではコミュ障で引っ込み思案なオレは友人と呼べる友人が少ない…というかほぼいないと言って過言ではないだろう。ゲーム上なら上手くやり取りできるんだけどなぁ。 メニューからフレンドのログイン情報をみる あ、オンラインになってる! 相手はまだ数日前に始めたばかりの初心者の子でたまたま初ログイン時にギルドで依頼票を漁っているときに声をかけられたのだ もしよければ色々と教えてくれませんか、と なにもわからないまま、中級者以上向けの職場を選択してしまったらしく操作方法が分からなかったらしい。んで、同じ職業でレベルの高そうなおれに教えを乞いたいとのことだった 即答でOKした。同志が困っているなら助けたかったし、なによりアバターが可愛い女の子だったから…とか本人に言ったらドン引きされるんだろうな。あ、でも、声はマイクつけてないからってことで聞いたことはない。もしかしたら男が女のアバター使ってる可能性もある、とは思ったがチャットの内容も不慣れな女子って感じなんだよなぁ まぁ、たしかに盗賊はスキルやら立ち回りやらが初心者には結構難しいとは思う。回避やクリティカル性能は抜群だが、自己回復手段がアイテム頼りだったりでソロプレイにはあまり向いていない ちなみにおれは転職できるところまでレベルを上げていたのでこの子とパーティを組む時は聖魔術師をしている。バフと回復が得意で補助的に攻撃魔法もあるから支援するにはもってこいだろ? てなわけで今日は次の階層に行くためのレベリングをダンジョンする約束をしている 相手のログインを確認してメッセージを送ろうとしていたら通知がきた 『こんばんは。今日もお疲れ様です!ダンジョン前で待ってますね』 『こんばんは。ありがとう!今から向かうので少し待っててください。』 パーティ申請が来たので了承して相手のところへテレポートすると可愛らしい盗賊っ子がダンジョン入り口で待っていた こちらに気がつき走って寄ってくる姿は小動物みたいで可愛さをより際立たせている 「お待ちしてました!今日もよろしくお願いします!」 これで声まで可愛いとかそんなんずるいだろ 「こっちこそよろしく。じゃあ早速だけど行こうか…ってあれ、マイク?」 「あ!そうなんですよ!やっとマイクの準備ができたんです。これで今まで以上にいっぱいお話しできますね!」 「んぐぅ!」 かっわい!!!こんなん好きにならないほうがおかしいだろ!! 「?…どうかしました?あっ!すみません。お話しできるのが嬉しくて勝手に盛り上がっちゃって…」 「いやいや!そんなことないよ!おれも嬉しいし! それにこっちの方が連携も取りやすいだろうしね」 「はい!そうですね!」 「よし!じゃ行こう」 その日のダンジョン攻略はずっと相手の声が聞こえてきてドキドキしっぱなしだった あ、もちろん、ちゃんと支援はした それからしばらくして相手の声にも慣れてきたころ 「あの、よければ、なんですけど。一度リアルであってみませんか?いつもお世話になってるのでなにかお礼したいなって」 「へっ?!」 思いもよらないお誘いをうけて二つ返事で了承した もしやこれはおれもついにリア充になれるのでは?! まさか待ち合わせ場所にくるのが男でしかも可愛らしい盗賊っ子とは似ても似つかない、長身イケメン野郎だなんて…まだおれは知る由もない

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