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11/15 ヒガンバナ

花言葉 あなたに一途 情熱 悲しき思い出 ※死ネタ 微戦争ネタ 某国 とある墓地にて 一つの墓石の前に佇み周りを見回す男が1人 「今年も綺麗に咲いたなぁ」 目の前に広がる放射状に広がる花をつけたヒガンバナ。彼岸の名をもつとおり、その時期になるとこの場所を埋め尽くすように咲き始める。 有毒植物の一種で食べると彼岸(死)しかないとか言われたりする。しかし、毒抜きをすれば食用にもなったり、毒の成分が薬になったり。 別名曼珠沙華 仏教では天上の花とされていたり 色々といわれのある花だ 「こんな花でお前のところにいけるなら喜んで食うんだけどな」 男は手近にあった花を茎から折りとって墓石のまえに備えるように置いた 「まぁ、そんなことしたら、絶対怒られるだろうけど…それでも…」 墓石にむかって話しかけている男の目には静かに涙がたまっていた この下に眠っているのは数年前に亡くなったこの国の騎士であった男だ 2人の出会いはとある娼館。客と男娼という関係から始まった。一晩限りの疑似恋愛のはずだった。お互いにそのつもりだったのに、一夜明けた時には本気で惹かれあい求め合っていた。それからは何度も何度も身体を重ねた。口先だけの愛の言葉も何度も交わし合った。しかし、今生の別れになるまで本当の気持ちを打ち明けることはなかった。そもそも身分が違いすぎたため想いあっていても一緒になることなどできないと理解していたからだ。どんな関係であっても2人でいられるのならそれでよかった。 別れは突然だった。戦争が始まったのだ。もちろん騎士である男は国のために前線に出ることとなった。これで最期になるかもしれないと娼館にきた騎士に言われた時、男娼はもしそうなれば自分も後を追うと来世では共に生きようと涙ながらに伝えた。しかし、それは許さないと今世を悔いなきように生きてから死ねとそうでなければ来世では君と一緒になることはないと騎士は返した。それならば生きて帰ってこいとお前のいないこの世になどなんの未練もなにもないと、そういい見送ったのだが…… 無情にも戦争は命を奪い去っていった。奇しくも国は戦に勝った。多くの犠牲を払って平和を手に入れたのだ。 ここはその時亡くなった人々が多く眠っている集合墓地。英霊ここに眠ると中央には石碑が建てられている。平和な立役者だと賞賛される人々。その裏ではかけがえのないものとの別れを経験した人間も多い。しかし、皆それでも今を生きているのだ。それが残されたものの責務だとでも言うかのように。 「こんなの、呪いだ…」 生きろという名の呪いはじわじわと心を蝕んでいく。そして、知らないうちに飲み込まれて… 「ごめんな。やっぱ俺、お前がいないとダメみたいだ…」 男はこの時のために持ってきていた小瓶に入った液体をぐいっと飲み干した。赤い花から生成した毒。致死量は優に超えているであろう量を一気飲みしたのだ。すぐに呼吸が荒くなり立っているのもままならなくなる。 「ごめん…怒って、も、いい、か、ら……も…いっかい………」 あなたに会いたいです。その言葉は紡がれることはなかった。 墓石に寄り添うようにして息を引き取った男は翌日それを見つけた人により騎士のそばに墓を建てられ埋められた。 願わくば来世では共に生きられますように…… ◇◇◇◇◇◇◇◇ とある時代、とある病院の一室にて 「「おぎゃーーーー!」」 「お母さん!!生まれましたよ!!元気な双子の男の子です!!!見てください。を繋いでますよ。すごく仲良しですね」 「はぁはぁ……あぁ、ほんと、ね。仲良く元気に育つのよ…!」 「「あぎゃーーーー!!!」」

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