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11/25 ネリネ
花言葉 華やかさ また会う日を楽しみに 箱入り娘 忍耐
「じゃあ、あっちでもしっかりやるんだぞ」
人が行き交う空港
大きな荷物を引き摺りギターケースを背負った小洒落た格好の男に声をかける
「うん!!そっちこそ寂しくて風邪とか引かないでね?」
「はぁ?!だれがっ!」
「あっはは。だよね。ま、俺の方が寂しくて震えちゃうかも」
わざとらしく身体を抱きしめて身震いする
「はっ。せいぜいオレの偉大さを再認識するといい」
「ほんとそれなんだよねー。これまで家事やらなにやら全部やってもらってたからなー俺。知らんところでやってけるか自信ないや」
そう…思えばこいつはいつの間にかオレの部屋に上がり込んで、しれっと住み着いていた
いや、まぁオレが拾ったと言っても過言ではないのだけれど…
「まさか、路上ライブやってたお前が海外に音楽留学するなんてな」
「えっへへ〜、俺ってばこう見えて結構な才能の塊だったらしくってさ〜。俺のこと大好きなマネージャーが『一回外の音楽に触れて世界を広げてこい』って、それだけ投資する価値があるとか?言われたんだよね〜?」
明らかに調子に乗っている目の前のバカ
「はぁ…まぁ音楽のセンスは認めてるし、推薦したのもオレだけど…
「「あんま調子乗ってるとすぐに潰されるぞ」」
「でしょ?」
声真似をして言葉を重ねてきた
「………」
「ちょ、ごめんごめんて。そんな睨まなくてもいいじゃん」
ヘラヘラ笑って本当にわかってるのかどうか…
「……まぁ、とりあえず、気合い入れて行ってこい。しっかりしごかれてミュージシャンとしてもう一つ大きくなって帰ってくるのを待ってるから」
「おっけー!!任せて!俺のことを愛してくれるマネージャーの期待に応えるために俺頑張るから!あっ、そうだ!俺が海外に行ったからって他のやつに浮気したらダメだからね!マネさんは俺だけのマネージャーなんだから!そこんとこ忘れないでね!」
「それは知らん。仕事は仕事だからな。やらって言われたらどんなやつでも担当するのがオレの仕事だ」
「ぐう…堂々と浮気宣言された……。俺、泣いちゃうよ?!あっちでマネさんが他のやつと組んだって聞かされたらすぐ帰ってきて一緒に連れてくからね!!!」
「あーはいはい。お前の耳にだけは入らないように事務所にも言っとくから安心して向こうに行ってろ」
「な!!??だめだよ!!ぜーーーーったいダメなんだからね!!!」
ギャイギャイ騒ぎ出した大きな子ども
〜♫
〝……搭乗時刻のご案内をいたします。〜便、機内へのご案内は……〟
タイミングよくアナウンスが鳴った
「ほら、乗り遅れないようにとっとと手続きしてこい。」
「うう…絶対絶対絶対浮気しちゃダメだからね…もし担当になったらみんなマネさんのこと好きになっちゃうもん…」
「はいはい。そんなことないからはよいけ」
「あーーもう!全然分かってない!!こうなったら……」
荷物を置いて真顔でズンズンとこちらに歩いてきて抱きしめられた
「ちょ、なんだよ。流石に子どもっぽすぎ………っい?!」
ちりっと首筋に刺激が走った。身体を離した男を見るといつもより獰猛な目で舌舐めずりをしている。
「おっおまっ?!」
「……これ、マーキングだから。マネさんは俺のもんってこと、忘れんなよ」
「ぅ……忘れない、けど、任された仕事はするからな。あと、後にも先にもお前だけだよ。オレが私生活まで面倒見てやりたいって思ったやつなんて」
顔がかぁっと火照る。直視できない。
「〜〜〜っ!!!うっへへへへ。マネさん大好き!!!」
「うっさい!!早く行ってこい!このバカ!!」
「はーい!!行ってきまーす!俺めっちゃくちゃすごくなって帰ってくるから待っててね!」
「はいはい。楽しみに待ってるよ」
じゃあ!と言って手を振りながら進んでいく男を見送り手を振りかえす
「行ってらっしゃい」
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