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12/3 ストック

花言葉 愛の絆 永遠の美 愛と一口に言っても、その種類は多様だ 確か古代ギリシャでは8種類の愛があると言われていたとか フィリア 深い友情 ルダス 遊びとゲームの愛 アガペー 無償の愛 プラグマ 永続的な愛 フィラウティア 自己愛 ストルゲー 家族愛 マニア 偏執的な愛 そしてエロス情欲的な愛 まぁきっとこの多様性の時代だからもっと色々あるんだろうと思うけれど… 今この胸の中にある複雑な愛は一体どれで説明すればいいのだろうか ちょこちょこと動く歳の離れた小さい弟を見つめながら頭を悩ませる 「兄さんまた難しいこと考えてるでしょ。」 視線がうるさかったのかキッチンから声をかけられる 「あーいや。うん。今日もお前は可愛いなって」「はぁ、はいはいありがと。相変わらず頭の中お花畑なんだから。はい、お味噌汁。仕事行かなきゃいけないんだからさっさと朝ごはん食べて準備して!」 ことんと目の前に置かれるお味噌汁 俺が起きてくるのに合わせて温めてくれたみたい。まだ高校生なのにしっかりしてる。自慢の弟だ。 「毎日ありがとな。いただきます。……ん、うまい」 「そりゃどうも。あ、これ今日のお弁当ね。忘れないように持っていってよ」 「うん。これがないと仕事頑張れないから絶対忘れない」 「あっそ」 ツンとした反応をしているがすこし嬉しそうにしている、と思う。その証拠に口角があがっている。しっかりしているがまだまだ子どもらしくて可愛いところを朝イチから見れて大満足だ。 「こんな日が永遠に続きますように…」 「なんかいった?」 「いやー、なんでも。今日もがんばろーって」 「? ま、しっかり稼いできてよ」 「おう!任せとけ。バリバリ働いてくる!」 この美しい光景を守るに働かねば。そして誰にも邪魔されないようにこれからも不必要なものは排除していく。そう、これまでも邪魔なものは血縁であろうと関係なく排斥してきたのだから。もちろん愛しの弟にはバレないように… 「じゃ、仕事行ってくるな」 「うん。いってらっしゃい。あ、父さんと母さんにも声かけてから行ってあげなよ」 「……おう。いってきます」 弟に言われて玄関先に置かれた家族写真に映る両親を見る。なぜか2人から睨まれているような気がする。ま、もうこの世にいない人間になんと思われようが関係ないけど。 「俺たちは幸せだから。安心して眠っててね………早くあいつの中からも消えてくれよ」 そう独り言を溢し写真立てを伏せる。本当ならこれも、家の中にある俺たち2人以外のものも、全部消し去ってしまいたい。けど、それを実行するにはまだ速い…ゆっくり、少しずつ無くしていけばいい。だから今は家族愛という鎖で逃げられないように溺れてくれるように…

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