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12/11 白いバラ
花言葉 無邪気 清純 相思相愛 尊敬
「ほ、本当にやるの?」
「あ?なんだよ、今更やめたいって言ったら許さねぇからな」
こちらに背を向けていた彼が躊躇する僕の方に向き直る
「うーでも…まだ心の準備が」
「なーに言ってんだ。どれだけ時間かけてきだと思ってんだよ。今やんなきゃいつやるんだっての」
「また、今度、とか?」
「こんのバカが。いま!ここで!!やるんだよ!!」
呆れた彼に頭をチョップされる
声はキツイが力の加減をしてくれているのだろう。痛くはなかった。優しいなぁ。だからこそ痛い思いをさせたくないんだけど…
「うぅ…わかったよ……痛くても怒らないでね」
「はいはい。今更んな細けぇことで怒んねーよ」
「じゃ、じゃあ行くよ?」
「おう、ほらよ」
再び背を向けて首筋がこちらに見えるように服をはだけさせてくれる
「本当にいくからね?」
「わーっかったから!さっさとやれって!」
「い、いただきます」
覚悟を決めて口を近づけ、柔らかい肌に牙を突き立てる
ぶちりと皮膚が破ける感触が伝わってきて、そのすぐ後に暖かい液体が溢れ出してきて舌先に触れる。しびれるほど甘美でこれまで味わったことのないほどの快楽が脳を直接刺激する。
「ふっ…あ……んぅっ?!……ぁ」
「…っ…ん……や、ば…おいし……はぁ……とまんない」
無我夢中で溢れ出てくる赤い液体を舐めとる
一滴でも無駄にしてはいけないと本能がそう叫ぶ
力が抜けて倒れてしまいそうな彼の腕を引っ張り上げて首筋に顔を埋める
「ん…ふぅ…ちゅ……ぷはっ……もっと…」
「んあ……くっ……ぅ…お、まえ…ちょっと…はぁ……がっつきすぎ、だろ」
息継ぎをしようと口を離した時にチラリと見えた彼の顔は紅潮していて目には涙が溜まっていて
はっと正気に戻された
「………あっ?!………ごっごめ、僕、今トんでた……?」
「っ……はっ…だから…怒ってねーっての。それよりそんなにうまかったかよ。俺の血」
「うん。こんなに、美味しいと思えたのは初めてだよ。美味しすぎて頭がクラクラする…」
「よかったじゃねぇか。これでお前も人の血を吸血できる一人前の吸血鬼ってわけだ」
「………多分、君じゃなかったら無理、だと思う。僕の血筋ではお互いに愛し愛されていることがわかった時、一番美味しく血を頂けるっていわれてて…」
「なるほど?ただでさえ人間の血が苦手なお前が俺以外の相手から吸血なんてできないって?」
「………はい」
「はぁ……まぁいいんじゃね?」
「え」
「相思相愛であることが美味しい血の条件ってなら俺とお前にピッタリだしな」
からりと無邪気に笑う彼
「それは、そうだけど…でも、痛くないの?」
「んーーー痛いのは痛いけど。それも一瞬だな。そのあとは、その……気持ち、よかった、し……」
くちごもり頬を赤らめている彼に無意識に喉がごくりと鳴る
「ねぇ、このまま食べてもいい?」
「おま……吸血するのには躊躇するくせに…」
「だめ?」
「あーはいはい。いいよ。ただし、今全然力入らねぇから優しくしろよ?」
「うん!!とびっきり優しくするね!!!」
ニヤリと笑う彼を僕は思いっきり抱きしめてそのまま押し倒した
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