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12/13 ヤツデ

花言葉 健康 分別 親しみ 「おはよーございます!!」 「はい、おはようございます」 「先生!!今日も素敵ですね!好きです!俺と付き合ってください!!」 「はいはい。ふざけてないでさっさと教室に行きなさい。ホームルームに間に合わなくなるよ」 ここは保健室、俺はこの学校の養護教諭をしている。 で、いま目の前にいる日焼けしたいかにも保健室とは縁のなさそうな男はこの学校の生徒である。 サッカー部の朝練が終わると毎日のようにここに来ては同じことを言ってから自分の教室に向かうのだ。 「じゃあ!行ってくるね!あ、返事はいつでもいいから」 「早く行きなさい。あと、いつも通り返事はノーです」 「ちぇっ、まだまだ先生の心は傾かないかー」 「まだも何も一生傾かないので安心なさい」 「いや、わかんないじゃん!いつか俺に惚れる時が来るかもしれないし、そうなった時にすぐ返事してもらえるようにこれからも毎日告りにくるから!」 キーンコーンカーンコーン…… 「ほら、遅刻ですよ。とっとと行きなさい。話してたら僕まで怒られるでしょう」 「ちっ部活の片付けに手間取ったから……じゃあまた昼休みにくるから。今日も一緒にお弁当食べようね!」 「気が向いたら待ってます」 「とか言って待っててくれるの俺知ってる〜」 「アーソウイエバ、今日他の先生にお昼誘われてたっけなー」 「なにそれ!聞いてない!行っちゃダメだからね!?俺の貴重な癒し時間がなくなる!!」 「さぁ、どうしましょう」 「くっ…先生の意地悪!!でもそんなところも好き!!!」 そう言い残して保健室から走って出ていく 流石スポーツをしているだけあって速い あれなら、ギリギリ間に合うか 「………はぁ…全く若いって恐ろしい」 机に肘をついてため息をつく 「失礼します。って先生?どうかされたんですか?」 騒がしいのが出て行ったと思ったら次はスーツを見にまとった男性が入ってきた 「あー、理事長でしたか。いやー、若者の勢いに圧倒されまして。おじさんには眩しいなぁと」 「あははは。何言ってるんですか。まだ30にもなってないのに。ぼくなんてもう35超えましたからね。ぼくのほうがおっさんです」 「そんなに変わらないじゃないですか」 「いやいや、そんなことないですよ。先生も歳とると分かりますよ。この差が如何に大きいか」 そう言って笑う目の前の男はどう考えても自分より若い見た目をしている。 「そんなもんですかねぇ」 「そんなもんですよ。あぁ、そういえば、さっきの子いつも来てますね」 「ですね。こんなおじさん相手にするなんて相当暇なんでしょう」 「うーん。まぁぼくからはやるならバレない様にしてくださいね。と言っておきますね」 人差し指を口元に置いて悪戯っぽく笑う。この理事長…まさか気づいているのか… 「いや、流石にないですよ。これでも分別ある大人だと自負してますから」 「ふふ。そんな常識どうでも良くなることも世の中にはあったりしますから、ね?」 「………理事長?あまりおふざけに」 「まぁぼくとしては学生が学校に通うモチベーションになるならなんだってウェルカムなんで、大抵のことは目を瞑っていくつもりです」 「はぁ………目を瞑って頂かなくても彼が学生であるうちは何もないですから」 そういうと突然にやりと笑みを深くする理事長 「ほう。学生のうちは、ですね。なるほどなるほど」 「…あ゛っ!いや!違いますからね!そういう意味ではないですから!!」 「はいはい。何も言ってないじゃないですか。ふっくくく」 「あ゛あ゛……もう、いいです。今日のランチのお話は無しにします」 「おや、それは残念です。楽しみにしていたのに。まぁ、聞きたいことは今聞けましたし、ぼくは満足です」 こいつ…この話をするためにランチに誘ったな 「では、今日も彼との楽しいランチタイムを堪能してくださいね」 「っ!理事長!!」 ガタンと音を立てて椅子から立ち上がるが こちらのことなど意にも介さない目の前の男 「あっははは、ではぼくはこれで」 高笑いをしながら保健室を後にした 昼休み、朝、保健室からご機嫌な理事長が出てきたのを見たという噂が校内を駆け巡った もちろん奴の耳にも入った様で 「あいつと何話してたの!?ご機嫌になるようないいことでもしたの?!」 というなんとも的外れな尋問にあった…… 「学生にはまだはやい話だから気にしなくていい」 と言って濁しておいた

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