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12/21 スペアミント
花言葉 感情のあたたかさ
今日も君がかっこよくて
グラウンドを自由に駆ける姿に
僕はずっと見惚れていたのです
きっとこれは憧れなのだと
自分には見ることのできない景色を
その瞳に映している君をみて
僕は想いを馳せる
そこにもしも僕が入れたら
「なんて…ありえんよなぁ」
吹奏楽部の練習中にぼーっと眺めていたら
楽譜で頭をはたかれた
「いてっ」
「こら。またよそ見してただろ。今から合わせだぞ」
「先輩、痛いです」
くるりとこちらを振り返った先輩に注意されてしまった
「痛くしてるからな。というか好きなのはわかるが練習中くらいは集中しろよ?」
「はーい。すみません。って好きとかじゃないです!!」
「はいはい、そういう事にしといてやるから。準備しろー」
からからと笑う先輩の背中をぽかぽか叩く
楽器を準備しながらチラリとグラウンドの方を見る
「え…」
『がんばれ』
彼が笑いながらこちらを見て一言口パクで伝えて手を振っていた
間違いなく今この瞬間僕がその瞳の中に映っていた
「まじか」
嬉しくて頬が温かくなる
「あ」
こちらに手を振っていたのが先輩にバレてばしん!っとここにまで届くほどの音で頭を叩かれていた
お揃いだ、なんてまた嬉しくなる
「ふふ…がんばれ」
僕も応援を返す
ぐっと拳をこちらに突き出してくれた
「へへへ」
「おいこら、集中!」
「はーい!」
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