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12/27 パフィオペディルム
花言葉 官能的 優雅な装い
「最近流行ってるよなーお前」
「そうかなぁ。あ、でも専門店とかもできてるよね。ありがたいことだよねぇ」
「いやほんと出世したな。少し前は俺らと一緒に屋台の売上で競ってたのに」
「いやぁ、でもやっぱりルーツはそこだよ。その時期があったからこその今だし。なにより、いつ終わるかもわかんないからねぇ」
2人の男が不思議な鏡面に映る映像をみて談笑している
周りを見渡すと甘い香りのする空間にはクッキーやチョコレート、マシュマロでできた建物
カラフルな水あめを噴き出す噴水やグミでできた虹
一面甘いものでできているここはスイーツの世界である
そして、この2人は
「ほんと羨ましいぜ。いろんなトッピングが出てきてるから最近おしゃれな服よく着てるもんな。りんご飴」
「君だってチョコレートとかでデコレーションされることあるじゃんね、ベビーカステラくん」
艶のある赤い髪の毛、飴の甘い香りにりんごのように瑞々しい肌、ほんのり赤く染まった頬。今日は抹茶のように綺麗な翠の着物を羽織っている。最近人間界でブームになっているりんご飴を司る者と焼けた小麦のようなこんがりとした褐色の肌に優しいはちみつの匂いに小麦粉の焼けた香り、ふわふわと触り心地の良さそうなほっぺた。祭りに来ていくような甚平を着ているこちらはベビーカステラを司る者
屋台スイーツの定番を争う2人が見ていたのは人間界のスイーツ特集
「シナモンに抹茶にココアにきな粉……ほんと人間の創作意欲はすごいよねぇ。最近はトッピングさんたちとの顔合わせでへとへとだよ」
「たしかに、ずっとあちこち行ってたもんな。で?さっきの奴等以外にも良さそうなのいたのか?」
「うーん。相性いい人は結構いたと思う。試したいけど、やっぱりなんかそわそわしちゃうんだよねぇ」
「あー、わかる。俺も最初の頃緊張したわ。初めましてで身体の相性を確かめましょうって言われてもなぁ」
「そう!そこなんだよ!僕ってこの状態で完成形みたいなところがあったからさ。今までトッピングさんたちに会うこととかなかったわけで、相性確かめるために……あ、あんなことやこんなことをするなんて…」
「うんうん。だよなぁ。それに相手によってはこう、なんというか、な?」
「あー、うん。そうだねぇ。ドロドロしてるのとかねちっこいのとかも……」
「あるある」
頷き合いお互いに肩を抱きしめ慰める
「まぁそのおかげでこんな綺麗な衣装も着れて、人間さんたちに喜んでもらえるなら」
「頑張るしかない、よなぁ」
「そうだねぇ」
遠い目をする2人
今日も今日とてスイーツたちはトッピングたちとの相性を確かめるために身体を張っている。らしい。
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