4 / 196

マッチ売りの娼年 4

 要はもっと見せろ……と言うことか、もしくはもっとそれ以上のことを要求しているのだと、少年は胸中で溜息を吐いた。 「だからさぁ、わかってるよね?」  それは少年の同意を必要としていない言葉だ。  人影は少年が黙りこくったままなのを是と取ったのか、肩を掴んでいた手でパーカーを引きはがしにかかる。  華奢な体を覆っていたサイズオーバーな服は、それでなくとも乱れていたと言うのに人影の蛮行のせいであっと言う間に地面に落ちてしまう。  たった一枚だけ、しかも羽織る程度にしか肌に触れていなかったと言うのに、それが無くなるだけで酷く心細くなるものだ と少年は服が落ちた辺りに目を向けた。  闇に目が慣れれば見つけることもできるだろうけれど、暗くくすんだ色のパーカーは目視で探すのは骨が折れそうだった。 「ハァ、 ハ、っハァ」  荒い息が耳元にかかる。  寒いわけでもないのにびっしりと体中に鳥肌が立ったのはこの人影に触れられたからではなく、この人影に性的な意識を向けられたからだ。  少年の鼻ではもう嗅ぎ取ることができなかったけれど、人影は小さな獲物のような相手に向かって威嚇するようにフェロモンを放っていた。  それが、少年の体の中に入って拒絶反応を起こす。  急な鼓動の速まりと、嫌悪からくる嘔吐感、全身の血の気が引いて指先が冷たくなって体がこわばり震え出して…… 「こ、こわがんなくてもいいよ、俺は別にレイプしたりとか暴力奮ったりとかしたいわけじゃないんだって!」  そうは言いつつも少年の服を剥ぐ手つきは乱暴だったし、引き寄せる手は力の加減を考えられていないせいで細い二の腕に食い込んでしまっていた。 「ちょっとさ、黙ってて上げる口止め料代わりのことしてよって言ってるだけなんだって」  荒い息を吐きながら人影の手が少年の下半身に伸び、柔らかで薄い体毛を指先で意味ありげに弄る。  けれど少年は何も言い返さずにぐっと唇を引き結んで、自分自身の嘔吐感を宥めるように息を詰めた。  人影の指先がぞりぞりと、柔らかいとは言えコシのある体毛を撫でて……その先に項垂れているモノへと移っていく。  まるでそれは肌の上をムカデが這いまわるかのような不愉快さで、少年は自分の我慢があまりもたないことに気がついた。 「ちっちゃくなっちゃったね、さっきまであんなに顔を覗かせてたのに……大丈夫、すぐにびんびんにして涎垂らさせてあげるから、俺の手マンはすぐびちゃびちゃになるって有名なんだ!だから君もすぐに股開いて気持ちよく……」

ともだちにシェアしよう!