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マッチ売りの娼年 7

「……あの、金額をお間違えです。おつりを出すこともできませんので……」 「いや、間違えてないよ」 「……」  はっきりと返されてはもうそれ以上少年に何か言い返す言葉は出ず、「少々お待ちください」と言い置いてマッチ棒を数える。 「……あの、申し訳ございません、マッチ棒の数が……」 「じゃああるだけで」 「……」  おつりがないのだ と、先ほども言ったはずなのにと少年は困惑しながら掌のマッチをすべてビニール袋に戻す。 「おつりがありません」 「承知しているよ」 「……」  やはり少年は言葉に詰まったが、客がここにあるだけでいいのだと言っているのだからそれ以上は何も言えない。  そろりと立ち上がるといつものようにベンチの裏の木立へと進んで、手探りでいつも背を預ける木を見つけた。  ここに来たら服をはだけて自慰を見せるのだが、いつもより多く金額を貰ったせいかなんとも座りの悪い気分で少年はもぞもぞと身を捩る。  物言いが丁寧な人だ とわずかな会話だけだったけれど、少年はこの客がどう言った人間なのか考えようとした。  皮脂臭さもなければ息を荒げた様子もない、手渡されたお札も古いものではなく……もしかしたら新札かもしれない と思考を巡らせる。    嫌味でない程度につけられた香水は……ハイブランドのものだと気づく。   「擦ればいい?」  「   ン、いいよ」  声をかけられてはっと我に返った。  いつの間にか言葉が堅苦しくなっていたことや、客の素性を考えようとしていたことに慌てて首を振った。  今の自分が置かれている立場を思い出しながら、少年はそろりと下半身に手を伸ばす。  シュ と軽快な音がして暗い闇がほんのわずかに押し戻される。    温かみのある火に浮かび上がるのは一目で吊るしのものではないとわかるスーツと…… 「ぁ  ん  」  顔を見るにはもうわずかに光量が足りず、にこやかに微笑んでいるような口元だけが確認できる。  その顎の形がよかったからかどうなのか、少年はその先を見てみたいとどうしてだか心がうずりと疼くことに気がついた。そして少しでもマッチの火を上に向けさせようと、剥きだした胸にそっと指を這わせていく。  以前はもう少し肉付きもよかったけれど、今では骨が浮かんで見えるのではと思うほど薄くなってしまっていて……興覚めするだろうかと思いながらも先端の赤い蕾をこねくり回す。  寒さでそれでなくとも固くなっていた部分が、こりこりと指で苛めてやる度にさらに硬さを増して指の間でくにりと潰れる。 「 ァ、 ぃっ  」  爪の先でカリカリと引っかいてやるようにすれば、扱いていたそちらもぴくりと跳ね上がるように反応していく。

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