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雪虫4 4 

   悪魔って言う本能の囁きが掴まえろ、犯せ、孕ませろ と叫んでいるのを押さえつけることができるのは、一度それに負けそうになって雪虫に怪我を負わせてしまったからだ。  今にも折れそうな体を蹂躙して傷つけてしまったことを、オレは一生忘れることはないだろう。 「あした、楽しみ」  ふふ と笑う雪虫の可愛さは世界に誇りたいくらいだけど独り占めしたい。  そんなわけのわからない矛盾を抱えたまま名残惜しくてまた雪虫に触れる。  慌ただしくなんの準備もできないまま抱いて番にしてしまった時から初めての雪虫の発情期だ、今度こそいっぱいいっぱいにならずに雪虫を気持ちよくさせてお互い満足のいく思い出にする!  オレの当座の目標はソレだ!  そわそわと研究所に辿り着いた時にはまだ受付が開けられていなくて、仕方なく門の前で不審者をする羽目になった。  いつも通りアパートを出て、いつも通り走ってここまで来たつもりだったのに、いつもよりも随分と早い時間だ。  タイムが縮まった なんてどうでもいいことに思考を飛ばして気を逸らすけれど、そわそわはどうにもならなかった。  ほんのすぐそこに自分の番が発情期を迎えて、オレの到着を待っているのだと思うともう駄目だ。  今すぐにでも門を飛び越えてやろうかと思うも……研究所入り口の警備員と目が合ってすごすごと後ずさる。  顔見知りだから放置してくれているだけで、研究所に一切関係のない人間だったらもうすでに警察に連れていかれているだろうことは想像がつく。ここはΩの研究所でもあるけれど同時にΩを保護するシェルターも兼ねていて……ここでなら大神がセキを野放しにしてるくらいなんだから、その警備は鉄壁なんだろう。   「  ──── そっ  ぉれっ!」  早朝の研究所は人の出入りがなくて静かなはずなのに、元気のいい声がそれを一瞬で破る。 「……あ? 噂をすれば?」  こそ と門から中を覗き込むと声の持ち主であるセキが何かを投げた後の体勢だった。  声を追うように聞こえたガコンと言う音と合わせて考えると、セキが何かを投げつけたようだ。 「あいつ、何やってんだ⁉」  セキの傍にあるのは黒塗りのいかにもな高級車で……その持ち主は考えなくてもわかる。  それに何かを投げつけた……?  一般人なら真っ青になるところなのに、ふんふんと鼻息を荒くしているところを見ると自分が悪いことをしたとかは考えていないようだった。 「セキっ!」  建物の玄関から飛び出してきたのは遠目に見てもはっきりとわかるくらいの大男……大神だ。 「いーんだもんっ! 大神さんが帰っちゃうんなら俺もついていくもん!」 「お前は留守番だ」

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