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雪虫4 8

 抵抗されるだろう。  苦しがるだろう。  痛がりもするかもしれない。  なのにそんなことどうでもいいんだって思えてしまうくらい、そのフェロモンは脳みそをぐちゃぐちゃにしてくる。 「しずる 待ってたよ」  そう言ってショールを肩から落とすと、薄い生地で作られた柔らかな肌着だけが見えて…… 「 は……? 雪虫、なんでそんな恰好なの⁉」  キャミソールは薄く透けるような生地に華美にならない程度のレースがついて、ゆったりとしたパンツには同じレースがあしらわれているからそろいのものだってわかった。  雪虫によく合う透明感のある銀色がかった白い色は、その色味のせいか密着した部分の肌の色を滲ませている。  まるで裸のようなのに……裸よりもエロイ。 「う゛   」  嫌な予感がして思わず顔を押さえて崩れ落ちると、指の間を縫って赤い雫が滴りだす。  一時、大神によく殴られていたせいで鼻血が癖みたいになっていたけど、それも最近は落ち着いていたのに…… 「  つがいが、喜ぶって、きいたの   」  そう言うと雪虫はもじもじと体をゆすって足をすり合わせたり、キャミソールの裾を引っ張って隠す面積を広げようとしたりして…… 「しずるは、きらい?」 「  ────っっ! 大っ好きだよっ」  嫌いとかっ! かけらでも思うわけないだろうと叫びたいけれど、そんなことしたら雪虫をびっくりさせてしまうから心の中だけで叫ぶ。  大好きに決まってるしそのうえ好物だし、もう発情期になんて格好して待ち構えてるの⁉ って思ったら頭に血が上ってまたパタタ……って赤い雫が落ちる。 「しず  」 「だ、大丈夫だから、汚れるからちょっと待ってて……」  下半身の血が頭に行ったからかちょっと冷静になれて……とりあえず鼻を押さえながら扉を閉めて操作する。  そうするとシュって小さな音がしてもう一枚扉が出てきて、中の匂いを漏らさないように密閉される、これはオレ達の匂いが外に流れ出して施設内のΩ達の発情期を促さないための大切な作業だ。  ついでに言うと、ラットを起こしたαが扉を蹴破らないためのものでもある。    これで……この部屋はΩの……雪虫の発情期が終わってオレが正気に戻るまで開くことはない。  本当に、本当の本当に最悪なことになったら瀬能が扉を壊して入ってくるかもだけれど、そうならないようにするにはオレの理性が鍵だった。  冷静さを失わず、雪虫に無理をさせず、自分の欲望を抑えて…… 「いや……無理だって……」  今ですらバタバタと鼻血を噴くほど興奮しているのに、これ以上ってなると想像がつかない。

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