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雪虫4 10
尊重しているのに貪りたい。
大切にしたいのに思うままに触れたい。
ギリギリ崖っぷちの理性を総動員して雪虫の頬に手を添えると、ちょっとくすぐったそうに身をすくめてからはにかんで赤くなる。
いつも透明感のある白い……悪く言えば血色のない顔色が花が咲くように色づいて……
「きれー……」
滲むような赤みは命の証で、雪虫が生きていてくれているんだって見ているだけで泣きたくなってくる。
「ん。しずる、じっと見られると……恥ずかしい……」
もじ とすると白い布を引っ張ってお腹を隠してしまう。
そうなるとさっきまであれほど似合っていると思っていた薄い生地が恨めしくて堪らない。
今すぐ引きはがして一糸も邪魔をしない格好にしてしまいたいって思うのだけれど、雪虫がわざわざ今日のためにと着てくれた服に無体を働く気にはなれなかった。
触れたいのに、どうしたらいいのかわからなくてまごつく。
恰好悪いとわかっているのにもたもたとしたオレは、びっしょりと汗をかいている。
「少し、服 を、ずらして、も、いい?」
これからオレ達が何をするかしっかり理解している雪虫は、きっと黙ったままだったとしても許してくれていたと思う、でもそう言う当然に胡坐をかいたままでいたくないと言う気持ちが強くて……
「しずるの好きにして、いいよ?」
「~~~~っ!」
うぐぐ と全身に力を込めて衝動を堪える。
雪虫からしてみれば、いきなり自分の上でオレが唸り出したんだから驚き以外のなにものでもなかっただろう。
「じゃあ、触るな」
そろりとキャミソールの裾から手を差し入れて、掌全体で少しでも広く肌に触れるようにして摺り上げていく。
肌理が細かく柔らかな肌はオレの体のどこの皮膚とも違う。
触れているのが不安になるほどふわりとした皮膚は、それでもその下に骨があるのをはっきりと伝えてくる。
緩く上下する胸に進むと、また一際柔らかな箇所に触れて……
「ぁ 」
「痛い?」
「うぅん、しずるの指、あつい」
指先で力を込めずにすりすりとそこを擦ってやると、不思議なほどふかふかとしていたそこが急に硬さを持ってつんと立ち上がった。
張り詰めたようにぷっくりとして、コリコリとした感触のそこに食らいついて吸い付きたい衝動に、再び唸るような声を上げて耐える。
キャミソールで見えないけれど、オレの指で雪虫が感じて変化を見せていることが堪らなく幸せで、この多幸感に泣きそうになってぐず と鼻が鳴ってしまった。
涙を堪えるために大きく呼吸をすれば、その度にオレの好みぴったりの甘い香りが鼻孔をくすぐる。
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