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雪虫4 24

 自分ではなく雪虫を生活の中心に置くのはよくないと瀬能に言われたりもしたが、雪虫が関係しない世界と言うのが想像すらできなくて、今のところこれ以外の生活をするつもりはない。 「まぁー……でも、今日は雪虫の傍にいてー……んで、帰りに本屋寄って雪虫用のレシピ増やして、雪虫に持って行くご飯作って……」  それで、明日も朝から雪虫の傍にいる。    それだけで完結する世界の充足感に震えだしそうなくらい幸せを感じている。  オレの幸せは何だと聞かれたら、間違いなく雪虫だと答えることができるし、雪虫を最優先できるならばー……オレはあっさり瀬能や大神を裏切ると思う。  もっとも、瀬能はこれ以上ないくらい医者としてはちゃんとしてくれて、実はバース医の権威なんてものらしいし、時折遠出させられる以外は大神の仕事についても文句はないんだからその可能性は皆無なんだけど。  ここまで手厚く雪虫を診てくれる場所も、安心して置いておける場所も、収入をもらえる仕事も、他にはないと思うのは間違っていないはずだ。 「まぁ……だからこそ、なんでなのか は……ずっと気にかかってるんだけど」  大神の仕事で時々お使いを頼まれたり(怪しいブツの運搬ではない)、バース性チェックをしたり、瀬能の雑用を手伝ったり……くらいでこの厚待遇。  そりゃ、自分の下の話をするのは勘弁願いたいところだけど、それも今後の雪虫との生活について助けにもなるものだから全部悪い話と言うわけではない。  ましてや勉強だけにとどまらず様々なことを学ばせてくれるのだから……絶対裏はあるんだろう。  以前に言っていたブギーマン……仙内の息子だからか?  親子の情的な何かに期待して? 「ありえねぇな」  むしろあの男の無性の人間にまで影響を及ぼすようなフェロモンに対抗できる鍵だと言われた方がまだ信じられる。  ただ……無性の人間まで攪乱できるようなフェロモンってなんだ?  瀬能の真似じゃないけれど、両手の指先をぐにぐにと合わせて考えてみる。  指の腱が伸びる気持ちよさを感じながら、単に強いフェロモンと言うわけではないんだろうな と考えた。    オレや大神の鼻が良かったり、直江が視覚的にフェロモンを見ることができるように、多くはないけれど特別なα因子と言うものが存在していて、もしかしたらそれの一つなのだとしたら?  もしそうなら、仙内の血を引いているオレを研究すれば何か対策が出てくるのかもしれない……知らんけど。 「がっつり聞いても、はぐらかされるんだよなぁ」 「んー? 何か悩んでるの?」  

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