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雪虫4 37
みなわに捨てられた恋人である御厨は、以前見かけた時とは違って普段着を着ているせいで、随分と若く見えてしまっている。
だんだん日が沈んでいってて薄暗いから、遠目に見たら友人と話しているように見えるかもしれない。
Ωは年を取りにくいと言うのは本当だったんだなぁと、以前に瀬能に教わったことを思い出しながら御厨が話し出してくれるのを待つ。
待つ と言うか、流れで連れてきちゃっただけでオレから話したいことなんてないし、この人だって自分を捨てた恋人の息子といきなり会話をしろと言われても困るだろうことに気づく。
「あー……あそこ、結構警備厳しくて、あんまりああ言うことするとまずいことになるから……」
「知っています。あそこに、いたこともあったので」
「えっ……」
「あそこができた当初、母とお世話になっていたんです」
硬い口調に「あ、う」と適当な言葉を返すけれど、御厨は気にしてはいないようだった。
「あの、みなちゃんは 」
「みなわは あー……あそこにいたならわかってるだろうけど、父さんもあそこで保護されてる。あそこで保護されている以上、安易に外の人間に会えないって言うのはわかっているでしょう?」
「……婚約者だとしてもでしょうか?」
「こ ⁉」
思わず上げた言葉に御厨ははっと顔をあげ、堪えきれなかった様子で顔をぐしゃぐしゃと崩して泣き出してしまった。
「 っ、……そ、んな、こと、も……言ってもらえてなかった、なんて っ」
「あ、いや、みなわが言わなかったんじゃなくて、……そんな話をする関係じゃなくて!」
「っ……、……?」
ひくりとしゃくりあげながら、御厨はぽろぽろと真珠のような涙を零しながらオレの言葉に興味を示す。
「息子 だと 」
「そう なんだけど、オレは最近まで知らなくて……まだ、全然込み入った話なんてできてないんだ」
また息子のように振舞ってしまったことに罪悪感を抱きつつ、御厨を泣き止ませるために言葉を続けた。
「ずっと、ホント、全然一緒に暮らしたこともなくて、だから父のそう言った話を聞く気もなかったし、そう言う雰囲気にならなかったし……だから、御厨さんのことってよく知らなくて!秘密にしてたんじゃなくて、オレと父さんがそこまで親しくないから話せなかったってだけの話だから!」
一気に言い切ると、未だに泣きそうな雰囲気を滲ませてはいたが御厨は「そか」と小さな言葉を漏らしてくれた。
「初めて会う人に、親って言われて、オレ随分戸惑ったんですよ。……だから、父さんのことを許してやってください」
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