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雪虫4 48

「セキ、が   」  んー……と言葉を探している様子はもう先ほどまでのΩの臭いの話題を引きずってはないように思う。 「大神が浮気したあと、は、おしえてくれなかったから、知らないの」 「へ⁉」  こてんと首を傾げられてしまうと、さっきまで詰めていた息がどっと肺から飛び出していく。  なんだ? なんの話だ? と言う気持ちもあるが、それよりも先に雪虫が怒って言葉を発さなかったんじゃないとわかっただけで、今にも倒れたくなるくらいの脱力感に襲われる。 「ぁ、あー……ああああー……っっ!」  あいつふざけんなよ! の言葉は飲み込んで、努めて……努めて冷静な言葉を出そうとしたが呻き声しか出ない。  そんなオレを雪虫はキョトンとした顔で見て首を傾げるばかりだ。   「えっと、こう言うのは……相手がごめんって言ったら、それでおしまい かな」  そう言うもんだよな?  ジジィ達はその後、喧嘩の後片付けがあったりしたけど。  あの時はババァが手当たり次第にものを投げまわるから大変だったって記憶しかなかった。   「? でも、セキはぐふふって」 「ぐふふ? ……って、あの野郎っ」  バックに大神がついているのを幸いと思えよ⁉ って気分だったけれど、そのぐふふ部分を雪虫に言わなかったことは褒めてやりたい。  どうせセキのことだから、仲直りセッ……とかなんとか言っているんだろう。二人が喧嘩した後仲直りほにゃららをするのは勝手だけれど、それを雪虫にほのめかすようなことは今後するなと釘を刺しておかないといけないな。 「しずる、ぐふふってなに?」  ちら と上目遣いで見上げられてしまうと、オレのささやかな抵抗する意思は消えて行ってしまうのだった。  中指をそろりと曲げて縁をなぞるようにして動かすと、オレにしがみつく力が強くなる。  『ぐふふって言ってたのは、その後で大神とえっちなことしてるからだ』    なんて言ってしまったのは自分で……あの青い瞳に見つめられてすべてをゲロってしまった。  セキが帰ってきたらこのことについて、ちょっと膝を突き合わせて話をさせてもらおう! 「ヒートじゃないから、くすぐるだけな。ナカには入れないから」 「え⁉」 「えって……えって言われても……」  発情期じゃない雪虫の体じゃ、物理的にオレのが入らないんだから、こうやって触り合いくらいしかできない。 「オメガの臭い付けてきたお詫びに、雪虫のことすっごく気持ちよくしてあげるから」 「でも、でも、それは……しずるは?」  不安そうにオレの気持ちよさまで気にしてくれる姿を見せてくれるだけで、オレはイってしまいそうなくらい興奮しちゃうなんてことは言わない方がいいのかもしれない。

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