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雪虫4 49

 そう言ったことに疎かった雪虫が積極的に興味を持ってくれるのは、番としては嬉しいことだった。  Ωが群を好むと言うのは、こう言ったことの情報交換をしたがるからなのかもしれないなぁと瀬能の講釈を思い出す。 「しずる。お腹がムズムズする」 「ん」  短く返事をして、できるだけ柔らかい手つきで雪虫の薄い腹を擦った。  水谷に言われて行っている筋トレの成果があって、筋肉の浮き出たオレの腹とは違って白くて柔らかで少し力を込めると指の形に沈む腹部。  そこはふかふかとしてぬくもりがあって、離れがたい存在感だ。    けれども、そこだけの愛撫では物足りないらしくもじもじとした様子で雪虫はオレの手をとって、胸の方へと誘ってくる。  きっと、普段の雪虫からの行動としてはずいぶんと思い切ったことだったんだろう。跳ね上がるように刻む鼓動の音と赤くなっている項を見て、思わず首筋に唇を寄せた。  オレが刻みつけた、白い肌には似合わない傷跡は雪虫が受け入れてくれた証で…… 「あ……んっくび、くび……っ」 「ん、あったかい……舐めていい?」 「う? ぅん、うん、い よ。しずるの、きもち の、して……」 「ん゛っ……うん、うんっキ キスもしたい んだけど」 「んっいっぱい する」  華奢な体を包み込んで、ただただ裸で触れ合っていると言うのに、頭の中はぐらぐらと煮えたぎるようだ。  発情期のような訳が分からなくなりそうなほどの熱量ではないから、冷静に白くて細い体を堪能することはできているけれど、少しでも気を抜くと貪ってしまいそうになるのは変わらない。  薄い皮膚は青い血管が透けて見えて、白い大理石のようなのに触れると柔らかくて温かい。  骨に近い部分は敏感なのかゆっくりと擦っただけでもピクリと大きく反応が返る。  胸への刺激は感じすぎてしまうのか、身をよじって逃げることもあったけれど、肩や腰足などを温めるように触れてやれば蕩けるような顔して嬉しそうに微笑んでくれる。 「気持ちいい?」 「っ……うん」  うまくできない呼吸の合間から必死に返事をする姿は、胸を締め付けてくるほどに可愛い。  熱で潤んだ瞳がゆらゆらと揺れてオレを愛しそうに見てくれるのを見つめ返して、胸に満ちてくる温かいものをどう表現していいのかわからず、泣きそうになって鼻を啜った。  気まずい思いをしながらできるだけなんてことはないように、瀬能に昨日雪虫とエッチことをしたと報告する。  本当なら番とのそう言ったことを他の人間に知られたりなんかしたくはなかったけれど、雪虫の体のことを考えれば何があったのか、どう様子が違った、普段しないことをしたのかしていないのかをきちんと話しておかなくてはならなかった。

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