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落ち穂拾い的な 問題は山積みで……

「あー……」  珍しく瀬能が呻くようにして声を上げた。 「ベータが妊娠したことも、君のフェロモン偽装も、仙内が何を言いたいのかも何もわからない!」  そう声を上げて、くたびれた感が拭えない目をぱちぱちと瞬かせながらのそのそと部屋を出て行ってしまう。  一人で瀬能の部屋に残されて……お手上げだと言いたいのはオレ自身だ。  βの妊娠話に関してはオレの考えるべき範囲じゃないけれど、フェロモンを偽装できるかも? って言うのもできるできないは解決していないし、仙内が何をしに来たのか……と言うかどうしてあんなことを言ったのかもわかっていない。  それから直接関係はない……と思いたいけど、みなわと御厨のこともちょっと気にかかっているし、セキがなかなか帰ってこないってことも気になる。  セキが帰ってきてくれたら、あともう一つの悩みである雪虫のことは解決しそうなのに…… 「人の中に入って行けるようになったのはいいことだけどなぁ」  行動範囲が広がって、限られた部分だとは言え研究所の中で出歩くことの増えた雪虫から、いろんな奴らのフェロモンの移り香がしてて……オレはそれが堪らなく嫌だった。  だからって軟禁生活を送っていた雪虫に「閉じこもってろ!」みたいなことは言いたくなくて、セキに間に入ってもらってそれとなく距離を取れたらって思っている。  そのセキも、もうずいぶんと顔を見ていない。  同じだけ大神も見かけていないと言うことなんだけれど、それだけ二人きりの旅行が楽しいってことなんだろうか?  少し前に行った旅行で味を占めたんか? 「あーあ」  仕方なくお茶をもう一杯……と立ち上がり、そのついでにぐいぐいと体を伸ばす。 「先生はいつ戻ってくるんかな、いつ帰るって言ってくれてたらその間に雪虫のとこに行けるのになぁ」  すぐそこにいるとわかっているのに顔すら見に行けないと言うのは、なかなかにストレスだ。  けれど、ここでわずかでも瀬能の手伝いをすればそれだけ雪虫を取り巻く問題が解消されるのだとわかっているから、雪虫とそれらを天秤にかけながらやっていくしかないんだ……と肩を竦める。    それに、瀬能の助手として雑用をこなし始めてわかったことだけれど、瀬能はずっと何かしらバース性に関係することを調べたりしていて……オレに休みは取っているかと聞く割に、自分の方こそ休みらしい休みを取っていない。  それだけ瀬能の目指す先が険しいってことだし、その研究が遅れているって言うことでもある、それにプラスしてオレ達のことにも気を配って……  そう思うと少しでも瀬能の抱える問題が軽くなればいいと願ってしまう。 「あれ? そう言えばフェロモンが同じ人の話はでなかったな」  瀬能が叫んだ中に、その問題が入っていなかったことを思い出した。   END.  

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