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赫の千夜一夜 8
「髭がちくちくします」
そう言うとセキはくすくすと小さな子供のように笑って体をよじり、またキスをして笑いを零す。
「剃ってくるか?」
何か理由があって剃らなかったと言うわけではない大神は、整えもせずに伸びた髭を撫でる。
直江が居れば口うるさくも言われただろうが、今この場にいないために注意をされないから放り出していただけだった。
髭を相手にあまりにもくすくすと笑って逃げ惑うセキに、大神は溜息を吐く。
「少し待ってろ」
「あ、あ、ダメっダメです! こんなレア大神さんっ堪能しなきゃ!」
「俺は珍獣か」
「チン獣かも?」
上手いこと言った! 的ににやにやと笑うセキをベッドへと放り出し、大神はランニングシャツを脱ぎ捨ててカーゴパンツの前を寛げる。
「下らんことを言ってないで、どうするんだ?」
ベッドに転がされて不服そうなセキがぱっと弾けるように笑顔を見せる。
なんの戸惑いもなく大神が緩めてくれたパンツの前に顔を寄せて、くふくふと笑いながら手慣れた様子で器用に口を使って下着をずらす。
すでに緩く立ち上がっていたソレは引きずり出すのに手間はなくて、セキは頬を摺り寄せながら幸せそうに大神を見上げた。
「ごほーしします」
熱い息が表面をなぞることに、大神はぞくりとしたものを感じて唇の端を引き上げた。
小さな唇は発情期の名残かわずかにかさついていて、いつもの感触とはまた違うむずむずとするような感じを伝えてくる。
ちゅうちゅうと愛おし気に先端に吸いつき、丁寧に柔らかな鈴口に愛撫を施してから溢れた唾液を追うように舌を尖らせて裏筋を辿っていく。
黒い艶のある髪の合間から時折挑むように視線が絡まり、頬張り切れないモノを相手に夢中になっている表情が見える。
一途に自分のモノを愛でる姿に、何も感じないわけではない大神は熱い息の合間に伏せるようにとセキに言う。
「おい、足を……」
「や! 一回目は、口に欲し 」
腰を引こうとした大神に食らいつくように抱き着くとぷりぷりとした大きな先端をぱくりと咥え、入りきらない長大な茎部分を両手でゆるゆると擦り、そこにあるでこぼことした感触に指の腹で優しく触れては嬉しそうに眼を細める。
まるでマタタビにじゃれている猫のようだと思うも、大神はそれを見下ろす優越感に止めることはなかった。
もじもじと内太ももを擦り合わせながら、下は随分と寂しそうだと言うのにそれでもセキは口を離そうとはしない。
丹念に丹念に、大神がこれまで教え込んだことを素直に形にしていく。
「じゃあしっかり舐めろ」
「んっ んん゛ しま、しゅ、おおが しゃの、濃い一番搾り、ゴクゴク しゅ っ」
オス臭い、苦いだけの雫が美味しくて、セキは夢中でしゃぶり続ける。
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