145 / 391

赫の千夜一夜 10

 ぎりぎりと噛みしめた歯の隙間から返事を返され、セキはくふふと笑って楽しそうに大神の腰に抱き着く。  胸を押す焼けそうに熱い杭を感じながら「嬉しいです」と言葉を漏らす。 「オレ、一生懸命! 大神さんのイライラ鎮めますね!」  ニコニコと言うと、セキは自分の脂肪のしの字もついていないような薄い胸を両手でぎゅっと寄せ、その中央で潰されるようにしてツンと尖る乳首を唾液と先走りで濡れた亀頭へと押し付ける。  敏感な鈴口の柔らかな皮膚が、ぷりっと張りのあるピンク色の乳首に攻め入られてわずかな隙間を犯されていく…… 「おい、どこでこんなことを覚えてくる」  押し殺した声は威嚇に似ている……と思いながら、セキは「企業秘密です」と返す。  自分の胸の先端で大神の大事な部分をこねくっているのだと思うと、何と名をつけていいのかわからない関係だと言うのに心を許してくれているんじゃないかと嬉しくなって、また小さく笑い声を漏らした。 「んふふ、おチン〇ンにおっぱいあげてる気分になっちゃいますね」 「なんだそれは」  理解が及ばないと言いたげに呻き、大神は少し強めにセキの髪を混ぜっ返す。  それが合図と言うわけではなかったけれど、幾度も繰り返してきた中でできたクセのようなものだった。  セキは名残惜し気に胸から手を離して再びちゅうっと先端へと吸いつき、両手でゆるりと扱き始める。 「……っ、……! っ ん゛っん゛っ」  ちゅるちゅると唾液をまぶして丹念に舐めあげていく。    出会った頃は艶のなかった黒髪が、今では美しい光を弾く滑らかな手触りになったのを堪能しながら大神は小さな体を見下ろした。  ふっくらとしてきたとは言えセキの体は細いままで、発情期だったとは言え自分を受け入れることができるようには見えない。  そのことに、大神はいつも不思議な気分になった。 「  っ しっかり、飲み込め」 「────!」  わずかに弾ませながら告げられた言葉にセキは大神を見上げてにっこりと微笑む。  口の中に吐き出されたソレは熱くてとろりとしていて……びゅくびゅくと勢いよく出される熱が喉の奥を撫でていくのを、セキは恍惚とした表情で受け止める。 「んっ、ん゛っん゛ーっ!」  口の端から溢れ出しそうになるのを懸命に舐めとり、喉に絡む精液を飲み下すとセキはかぱりと口の中を晒す。  白い歯と艶めかしい舌がある以外はその中は空っぽで、綺麗に飲み干したのだと物語る。 「あっついの、体のナカをとろとろって流れて行っているのがわかります」 「わかってたまるか」 「わーかーるーんーでーす! あっお掃除フェラもさせてください! 尿道に残った一滴だって無駄にしません! 綺麗にします!」    

ともだちにシェアしよう!