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赫の千夜一夜 12

「動かないようにバックから固定されて前立腺潰されるのも好みだな?」  ぐいっと口の中に入ってくる太い指を素直に受け入れて、セキは微かに赤面した。 「深く、根本まで突っ込まれて、奥を先端でゆっくり揺さぶられるのも気に入ってるだろう?」  太い指が上顎を撫で上げると小さな体が震え始める。 「精液を作る間もないほど連続で絶頂して、それでも攻め続けられるのも好きだな?」 「う  ぅ、あっ……! 」  じわりと蜜を零す股間に泣きそうになるが、セキは大神から目を離さない。 「うつ伏せてはしたなく尻だけ上げて、俺に向かってアナを拡げて欲しがるのも、満更じゃあなかろう?」 「っ  」  ぶるりと大きな震えが伝わる。 「恥ずかしい姿を見られるのも、イイんだろう?」  人の好みを決めつけるセリフはからかいになってもおかしくはない言葉だったのに、告げられたセキは小さく震えながら淫蕩を溶かし込んだような笑いを唇に乗せた。 「うん、うん! 大神しゃ……に、してもらうこと、ぜんぶ、ぜーんぶだぁーいしゅき!」  唾液を絡ませた舌が恋しそうに大神に伸ばされる。  今触れている以上に深く触れて欲しいのだと告げるような態度に、満足そうな笑みを返して大神はへし折らないように力を加減しながら両足を握り締めた。  柔らかな内太ももの肉が自身を包み込んでくる感触に低く呻くと、それまで緩急をつけていた腰の動きが次第に早くなっていく。 「お、が、 み、さ  っ」  揺さぶられて出る途切れ途切れの言葉がベッドの軋む音にかき消されそうになりながら上げられる。  高まっていく気持ちよさに抗うようなその声を、大神は確かに聞いていたのに無視するように一瞥だけを投げた。 「 っ、おー がみ、しゃ  っナカ、ナカに、出し、 いれ、 っナカでぇ  」  か細い悲鳴に似た懇願を大神は聞き届けない。  押し込めるように再びセキの唇を覆うようなキスをして、乱暴と言うには優しすぎる動きで黙らせるだけだった。  「う  」と上がる嗚咽を聞きながら、悔しそうに噛みしめられた唇に跳んだ精液を親指で拭う。 「大神さん、酷い!」 「どこがだ」  セキの腹の上にぶちまけられた二人分の白濁の液は、さすがに絞り尽くされた後だからか量は少なかった。  それをタオルで拭き取ってやりながら大神は、唇を尖らせて拗ねたようにこちらを見ないセキに眉をしかめる。  ほとりほとりと憐憫を誘うように涙を落として動かない様は、人の同情を誘うには十分で……  セキの上げた必死の声を普段ならば聞き流せるはずなのに、喉の奥につっかえるように感じてしまって大神は体を拭く手を止めた。

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