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赫の千夜一夜 36

 とは言え、こうして購入したΩ奴隷達のその後どうなるのかと問われると、自分自身の説明したとおりになるのだからこれ以上の説明はしようがなかった。  こんな得にもならない、手間ばかりかかることをどうしてしているのかと尋ねられれば、大神は言葉に詰まってしまっただろう。    けれど……   「だ  「そう言えば先日、砂漠に埋もれていた遺跡が見つかったのだ。ミスター大神はそう言ったことに興味は?」    王はまるで先ほどまで話していた内容を忘れてしまったとでも言いたげに、突然まったく違う話題を振ってくる。 「……いえ、申し訳ありませんがそう言ったことには明るくはなく」 「そうか。興味があるようならば発掘現場に誘おうかと思っていたのだが」 「……陛下がお誘いくださるなら  」 「いや、それよりは高層タワーの建設がつい昨日決定してな」 「   」 「そう言ったものの方が興味を引くだろうか?」  こちらに投げかけられる話の内容はとりとめがなく、せめて何か一貫性があればと大神は王の言葉を胸中でなぞり直す。 「……喜ばしいことばかりですね」  聞かされた出来事は数日以内の出来事ばかりだ。  他にも共通項があるのかもしれなかったがこれ以上の情報を大神は持っていなかった。  相手の真意もわからず、取れる手立ての数の少なさに王からの視線が追い打ちをかける。   「そう、喜ばしいことばかりだ。良い国だろう?」 「はい、さようでございます」  だからどうしたと言う言葉を飲み込んで答えたはずなのに、王はそれを見通したかのようにからかうような笑みを浮かべた。  盃を傾けていた手がゆっくりと外を指さし、「あれが見えるか?」と問いかけてくる、示された先にあるのはこれでもかと盛りを競い合う異国の花々と砂漠の国だと言うのにふんだんに水を溢れさせる分髄だ。  日本人の感覚からすると随分と豪華な中庭だと言う感想だったが、見えるか見えないかで言われたら可視のものだ。  先ほどまでのわけのわからない話の連なりよりははるかにましだと頷いた。 「美しいです」 「気に入ったか?」 「……はい」  砂漠の日差しの強さがあると言うのに、外壁の壁が高いためか強い光は入っては来ていない。けれどはっきりとした光彩は日本のものより濃密で落ちる影は深い、だからなのか花の華やぎが更に強調されて、実用優先で飾りなど不要と思っていた大神ですらほっと目を留めてしまう美しさがある。 「では受け取るといい」 「……」  思わず「はい?」と返しそうになったのを堪え、「どう言うことでしょうか」と問い返す。

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