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赫の千夜一夜 46
「う゛ぅ゛……だって、イチャイチャ タイム、じゃ、ま、しゃれ ん 」
うーうーと呻きながら触ってくれと腕をひっかくセキの後ろは、耐えきれずにこぽりと蜜を溢れさせている。
瀬能に持たされている二種類の煙草の内、数の少ない疑似発情を促す煙草の効果よりもはるかに強く効いている様子に、大神は氷翡翠の沈んだ水差しを睨むようにして紗のカーテンを引いた。
けれどセキを抱えてでは幾ら勢い良く閉めても隠れるのはわずかな部分だ。
「んっ」
「くそっうまく閉まらん」
「ぅー……いい! そんなの、もぉいい から」
熱に浮かされてくずる子供のようにセキはもぞもぞと動くと、薄いワイシャツに包まれた大神の胸にしがみつく。
布の上から見てわかるくらいしっかりとした筋肉で彩られた胸は、セキの手で揉んだところではどうにもならないくらい張りがあり、それをなんとか揉みしだこうとセキは格闘するも……あっさりと返り討ちに遭って泣き崩れるしかない。
「ふぇ……大神しゃ の、胸でおぎゃりたいぃ」
「いい加減正気に戻れ」
パチパチと頬を指先で叩いてみるもセキの熱に潤んだ瞳は変わることはない。
直江やしずるならば、これ以上の力を込めてひっぱたくことも可能だったが、セキはそんなことをしてしまうと大怪我を負ってしまいそうだ と、大神は仕方なく指先をセキの胸に滑らせる。
人の胸を弄ろうとしている割には、セキの胸の先端はツンと赤く尖り、弄って欲しそうに震えては大神を誘っていた。
「きゃ、んっ!」
甲高く上がった声が静かな宮殿内に響き、大神は嫌な顔をしたがこの状況ではどうしようもない。
もうまともに思考ができていないのか、大神の名前や、して欲しいこと、時折わけのわからない淫語を呟きながら大神にしがみついて少しでもその肌に触れようと体のあちこちを擦り付けてくる。
体温が上がったからか、発情期の際に大神がつけた体中の噛み痕とキスマークが隠し彫りの入れ墨のように、ふんわりと朱を纏って全身に浮かび上がった。
「お が しゃ、もう、はいりゅ からぁ」
「弄りすぎだ。もうドロドロじゃあないか」
今から睦合おうと言う状況には似つかわしくない険しい顔で大神は白い太腿に飛び散っているセキの精液をすくう。
発情期が終わった直後のようにさらりとしているわけではないが、だからと言ってとろみがあるわけではない。
大神自身が起きるまでにすでに何度か達したのだろうと思うと、大神は溜息を吐いた。
「何かあったらすぐに起こせ」
「で、でもぉ……仮眠、くらいはって」
べそ……と泣きそうな表情を見せているのならば、少しは反省しているのだろう。
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