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この恋は不幸でしかない 10
ここは彼が触れた場所で、彼以外が触ってはいい場所じゃない と、穂垂は荒い息の下から声を絞り出して言う。
穂垂にとってここは、彼が自分を番にしようと働きかけた大事で、大切で……
誰にも触れて欲しくない場所。
「ッ ふ、 ぅ、っここ、だけ は……」
屈してしまいたいと訴える本能を、彼をただただ一途に思う気持ちだけでねじ伏せて、穂垂は自分の首から手を離すまいと爪を立てる。
「 ────晒せ」
感覚が焼けつくほどの多量のフェロモンと共に下された命令は簡潔かつ絶対だった。
振動に引きずられるようにして揺れる視界に、引きちぎられたカラフルな紐……少し前までネックガードだったものが見える。
たけおみが「おにあいです」と褒めてくれたそれは、もうただの残骸で千切れた紐でしかない。
「 あ……、ぁ 」
ぐら ぐら と廊下の上で頭が揺れる。
その振動を与えている牡が一際強く顎に力を入れたために、喉の皮膚が引っ張られて穂垂の喉がきゅっと締まった。
わずかに隙間の残された気道だけでは酸素が足りず、穂垂は霞む視界の中で廊下の傷をぼんやりと見つめる。
侵入することだけを目的とした深い挿入も、まるで獲物を捕らえたのだと言いたげな首に食い込む牙の感触も……
焼けつくような熱さを訴える体内の中で、また再びミシリと軋む音が響いた。
それでなくとも目いっぱいに広がった蕾が、もうこれ以上は本当に無理だと悲鳴を上げているかのようだ。
「ぃ、た、 っン、く、る 」
下腹部の感じる圧迫感はどんどんと増していき、フェロモンに溶かされた脳にも痛みを伝えるほどになる。
「ゃあ 、おなか、 いた い」
「……あぁ、君のはとても締まりがいいから」
首筋からわずかに顔を上げて隙間を作ると、東条は満悦の笑みに口の端を歪めながら緩く腰を動かす。
「だけどたっぷりと濡れているからとてもいい気持だ」
だから と、東条の言葉は続く。
穂垂の柔らかで、男にしては丸みのある尻をねっとりと撫で上げながら左右へと割り開く。
そうすると東条に犯されている秘部が引き延ばされ、痛々しい赤みを持つ縁がひくんと反応する。
「 ここに、たくさん種を出せるよ」
「……ぇ」
東条の大きな掌が穂垂の下腹部をぐっと押した。
その行動でありありとわかるようになった体内の東条の形に、小さな悲鳴を上げそうになる。
ぐり と外からでもはっきりとわかる瘤が体内にある。
興奮したαの性器がそうなると、知識では知っていたが実際に膨らむなんて思っても見なかった穂垂は、人の体が変形したことに対して怯えを見せた。
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