「　────っ」 　ぞわりと背筋を震えさせるような感覚に「ひぃ」と声を上げ、今更ながらに一糸まとわぬ自分の体を見下ろす。 　花で埋め尽くされたのかと錯覚しそうなほど赤い痣を残す体は、愛されていない箇所がない部分を探す方が困難だ。 　一つ一つの花弁のようなキスマークを視線で辿ると、チリチリと脳裏に東条がどんな様子でそれをつけていったかが思い出されて…… 「　　ぼ、く」 　 　一際日に焼けていない白い肌の先、ツンとくるような青臭いモノが溢れ出して内太腿を汚し、そのままシーツに染み込んでいく。 　それがどこから出ているかは一目瞭然で、それがナニかと言うのも説明が必要ないほど明らかだった。 　震える手で腹を擦ると、それに反応するようにこぽりと緩んだ最奥のアナから精子が溢れ出す。 「ぃ、や、な　なんですか……コレ、これは……っ」 　はっきりと答えがわかっているのに、一縷の救いを求めて東条ではなく虚空に向けて問いかける。 　まるでそうすれば、現実から目を背けられるのだ　と言うような態度だったが、長い指が肌を汚す白い液をすくったことによってそれは瓦解した。 「零されては困るな」 　大事な子種だ　とわずかに端を上げた唇が言う。 　東条はぶるぶると震えて否定を待つ穂垂の足の間に精液を絡めた指を差し込むと、溢れたモノを押し込み直すために指を動かす。 「もうしばらく入れておくんだ」 　あやすようにこめかみに口づけ、溢れた精液を穂垂の中へと収める。 「なん　　や、やめて　　っ」 　ぞわりと駆け上がった悪寒と恐怖に逃げ出そうとするも、東条は穂垂を逃がす気はないのかあっさりとベッドへと縫い付けてしまう。 　喉の奥にひぃと言う悲鳴を籠らせる穂垂は、怯えと恐怖と、自分の身に起こったことを怖がる小さな子供のように逃げを打つ。 「暴れないで」 「ゃ　　や　　っいや　　」 「落ち着くんだ」 　穂垂の今にもパニックを起こしそうな様子と裏腹に、東条の声はどこまでも穏やかで赤ん坊をあやしているかのようだった。 　幾度か声をかけても穂垂が落ち着かないと判断したのか、東条は腕を掴んでいた手でさっと穂垂の耳を塞いだ。 　音が、遮られる。 　視界が、東条で埋まる。 　どこにも逃げられない状況で、穂垂の世界にあるのは東条だけだった。 　熱い唇がゆっくりと重なり、角度を変えながら深く貪ろうと何度もついばんでくる。 　腫れぼったい唇は触れるだけで痺れるような熱い感覚がするし、触れるか触れないかの距離に離れるとくすぐったいようなじわりとした震えが起こり……当然と言うように入り込んできた舌がノック代わりにくいくいと歯を開けるように要求する。