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落ち穂拾い的な 暑中お見舞いのお話 1

 *こちらは、まったく流れに関係ないのですが暑中見舞いに描いたイラストを元に書いたお話しです。   残暑見舞いにでもーって思ってたのですが、過ぎに過ぎちゃったのは笑って流してやってください。  浜辺に座り、ぼんやりと水平線を眺める。 「イルカ……は、いるか? なぁーんて  」  視線と同じようにぼんやりとした言葉を呟き、セキは後ろを振り返った。  そこには浜辺のすぐ傍にある森からとってきた素材で簡易な屋根付きの寝床を作っている大神がいる。 「はぇー……器用だなぁ」  相変わらずセキはぼんやりと言葉を零した。  二人で砂浜に流れ着いたのは数刻前だ。  大神の取引に引っ付いてきたセキがトラブルに巻き込まれて……気がついたら海へと放り出されたのがセキの最後の記憶だった。  大きな腕に引っ張り上げられ、激しく咳き込んで暴れる体を砂浜に引き上げた大神と二人、どうやら無人島らしき場所へと流されたようで……  パニックになるセキを落ち着かせると、大神はそこらの石を割って簡易の石器を作って火を起こし、拠点を整えて服を乾かしながら今は寝床を作っているところだった。  まったく淀みも躊躇もない動きは的確で、セキは何もすることがないまま先に乾いた大神のシャツをきて邪魔にならないように膝を抱えている。  森から切り出してきた蔦で支柱を固定し枝を被せ……大神はそこでやっとふぅと手を止めた。  灼熱の とまでは言わないが、きつい日差しの下で動き回ったせいかさすがの大神も汗だくなようで、隆々とした筋肉に汗の道が幾つもできている。  少し浅黒い肌が日の光に照らされてブロンズ像のようだと、セキはちらりと思う。  とはいえ、幾ら大神の肢体が魅力的でも飛び掛かるような邪魔はできず、仕方なくすごすごと膝を抱えている状態だった。  すんすん と鼻を鳴らしながら大神のシャツに顔を埋めてみるも、海水のせいで普段のような香りはしない。  大神の衣服に包まれて、傍でむしゃぶりつきたくなる体が汗を流しているというのに、何もできないのでは悟りを啓くしかない と再び遠くに視線を遣る。  海の向こうが見えない。  つかたる市にも海はあるけれど、遠浅のそこは少し暗い色をしているし小さな島も見えていた。けれど今目の前に広がる海はどこまでも澄んで美しい緑をしているけれど、何もないただただ空と海だけの世界だ。 「この世で二人きり、って感じだなぁ」  とはいえ、それを望んでもライフラインがないと話にならないことをセキは痛感する。  水も火も電気も……食べ物も、すべてが潤沢にないと二人でいたところでやっていけないんだと、現実に思わず青空を仰いだ。

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