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落ち穂拾い的な 暑中お見舞いのお話 2
「セキ、日差しがきついだろう。屋根の下にいるといい」
さっと影が覆いかぶさって、乱れた前髪をかき上げながら大神が顔を覗かせる。
くいっと視線で後ろを指し示すと、そこには簡易の寝床と簡易な片屋根が作られている。
「水もそろそろ冷めるだろう、それを飲んで日陰で少し休め」
小さな木の皮でできた器の中には水が入っていて、煮沸を終えて冷まされているものだった。
「……」
「どうした? GPSもある、直江がすぐに迎えにくるだろうから何も心配するな」
ふぅ と一息つく大神のこめかみから大粒の汗が流れて……セキはとっさに大神の首にしがみついてそこに口をつけた。
突然飛びついたのに揺らぎもしない体は、舐めるといつも以上に塩気を感じる。
突然の暴挙だというのに大神はセキの体に手を回すと、わずかにくすぐったそうに肩を揺らしただけで、後は好きなようにさせている。
セキは伝う汗を丹念に舌で舐めとり、唇を食んでは味わうようにちゅくりと吸いつく。
「しょっぱいです」
「海水に浸かったからな」
「大神さんの肌がいつもより美味しく感じます」
かぷ と耳たぶに噛みついてちゅうちゅうと吸うと、さすがに少しだけ体が揺れる。
「寝床ができたなら、えっちしませんか?」
「なんだ突然」
「突然じゃなくてー……生存本能的な? 子孫を残したくなりませんか?」
危機を感じると性欲が増すとかなんとか聞いたことがあるぞぉと、セキは意思の強そうな瞳を覗き込みながら思い出す。
二人きりのこの世界で、くんずほぐれつしながら楽園を築いていけたらそれはそれは幸せだろう と、うっとりとしながら大きな体に手を回した。
迎えが来るとわかっているのなら、それまでこの状況を楽しむのもありという話だ。
「雲一つない青空の下! 大神さんの野性ち〇ぽぶち込んで、オレの雑魚ま〇こに種付して赤ちゃんふや んぎゃ!」
ぺい と放り出されて、セキはしたたかに打った尻を押さえて呻く。
「食料を捕まえてくるから大人しくしてろ」
素気無くそう言うと大神はスーツのパンツを脱ぎ捨てる。
「あ! 咥えていいんですか⁉」
「食料を採りに行くと言っただろう」
間髪入れずに返すと、大神は振り返りもせずに海へと歩いていく。
その背中にはまっすぐに立つ倶利伽羅とそれに絡みつく龍王、そして逃げ惑う小鬼達が描かれていて……
「不似合いだなぁ」
南国の景色の中で、大きな背中に刻まれた鮮やかで濃い色の絵はぽつんと混じった異物そのものだ。
けれど、セキにとっては視界の中でどれよりも鮮やかで美しく見える。
力強く美しく、何にも揺らがないそれは生命力に溢れて惹かれてやまない魅力を持っている。
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