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落ち穂拾い的な 暑中お見舞いのお話 9
「ぅ゛ 」
噛みしめた奥歯がギリ となって、悔しさに涙が滲むせいで、光っていた夜空の星が大粒になっていく。
「俺はお前が、ヒートを起こしたから仕方なく抱いたことなんてない。今までと変わらないのだから何も変わることはないだろう」
苛立ちを含んだような声だったけれど……
きっと他の人間が聞けば怒っていると勘違いしてしまいそうなほど、低く唸るような声音だが、セキは頭で理解するよりも先に、とろりと体が蕩けて大神にもたれかかるのを感じた。
発情期だから抱くんじゃなく、自分とセックスのできるタイミングだからする のだと。
「大神さん、大好き」
「そうか」
いつものやり取りはそれ以上の言葉をもらえないし、長く続くものでもないけれど。
セキはこのやり取りに付き合ってくれることこそが大神の気持ちなんだろう と微笑んだ。
大神のモノと自分のモノを擦り合わせて、男としての自信を失わないのは大神のが圧倒的だからだ。
コリ コリ と裏筋同士がこすれ合うたびに、皮膚の下に忍ばされたシリコンの粒が絶妙な刺激をもたらす。
「ぁ、んぅー っ、ち〇ぽ裏、大神しゃ さんの、でこすれて、痺れちゃうぉ。スケベ汁だらだらでもうどうしていいのかわかんなぁい!」
「少しボリュームを落とせ」
「ひぃんっ! むり、むりです! らって、こんな……大神さんの改造ちん〇んで自慰をするなんて、オレっ興奮で っ興奮でっ 雑魚ま〇こからヨダレがだらだら止まんなくって、大神さんの逞しい子種に種付けしてほし もがっ」
大神は大きな手でセキの口を覆うと、あやすようにちゅ ちゅ といたるところにキスを落とす。
「今日くらいは波の音を聞きながらしてもいいだろう?」
「んっ ん゛っ、でもっオレ……漏れちゃう」
「しょうがない奴だな」
そう言うと大神は大きな口でセキの唇を塞いで、その華奢な体を覆い尽くすかのように、覆い被さって深く口づけた。
ふかふかとしたベッドの感触と、紗幕で遮られているのか眩しいけれど眩しくない日の光、それから繰り返される波の音と気まぐれに髪をかき混ぜていく風。
「……ふぇー?」
もそ と起き出したセキの肩からさらりといつも使っている掛け布団が滑り落ちる。
「ゆめぇ?」
起き切らない頭で、どうしてふかふかのベッドで眠っているのかを考える。
波の音が聞こえているから、海の傍なのは間違いないし……
「あ! 大神さん!」
「なんだ、騒がしい」
飛び上がったセキに向けて、冷静な声が返される。
慌てて振り返った先には、籐で編まれた椅子にゆったりと腰かけながら書類を確認している大神だった。
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