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0.01の距離 22

 お互いの視線が絡まりながらミントの胸の上で小刻みに動く指先を見ている。  最初はわずかに感じるだけだったそこが、無言のままに擦るように触れ続けていると主張するようにどんどんと硬度を増していく。   「っ  っ、っ……」 「…… ……」  制止の声もなければ、冗談だという声もない。  ジャージの少し荒くて滑りやすい生地の上を、俺はずっと探るように触れ続ける。 「ん、  っ、ぁ」  俺にのしかかっていたミントの口がわずかに開いて、鼻にかかるような甘える声が零れた。  それは甘ったるくて、色気を含む音だった。  ミントの太腿が触れている部分が急に熱を持ったようで、じっとりとした汗の気配を感じる。  もう、冗談では済まないことになっていると、空気が訴えかけてきて……俺はミントの許可を取らないまま、塗装の禿げたファスナーの金具を引っ張って下ろした。  二人の視線の先、緑の面が真っ二つに割れて白い肌が現れる。  薄く開いたそこからでは俺が育てた乳首は見えない。  どうしようか なんて考える前に、指先を滑りこませて薄い胸板の先にある小さく硬いピンク色の蕾に触れた。 「 ────っ」  こちらが驚くくらい跳ねたミントは声を上げない。  ぎゅっと唇を噛みしめて声を押し殺し、潤む瞳で問いかけるようにしてこちらを見上げ……  俺は片手だけ差し込んでいたそこにもう片方の手も入れて、両手で左右の突起に触れた。  自分の肌とは違う、肌理の細かい肌は触れると傷つけてしまいそうで恐ろしい。だから、その中で唯一、つんと尖った場所だけが触れても安心できるように思えて、指の腹を使って直接擦るようにして転がす。  止めないのか? と思うも、それを口に出してしまうと、この雰囲気が崩れてしまいそうでただただ無言で愛撫し続ける。  日に当たらない皮膚に、ひっそりと存在するバラの蕾のようなそれは指で感じているよりも、実際に見ると小さい。  愛らしい?  健気?  可愛い?  どんな言葉でもよかったけれど、俺はそれを口に含んで愛でたくなった。  ミントの肌が……甘そうな乳首が本当に甘いのか、それともやはり汗の味がするのか? もし汗の味ならば……それも舐めてみたい という欲望がぐるりと腹の中でとぐろを巻いた気がした。  掴んだジャージをさっと左右に広げ、剥き身にされた細い胸に唇を寄せる。  頬にミントの肌の熱と、どれだけ心臓が高鳴っているかと、甘いけれどさっぱりとしたミントの匂いが濃く立ち上って……  目が回りそう……いや、実際に目が回ってしまっているのだと思う。

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