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0.01の距離 38
「ミ、ミント……っ」
それでなくても強面顔だっていうのに、それをぐしゃぐしゃにするからめちゃくちゃ怖い顔になっちゃって……でもそれが大好きだ。
「まこちゃん」
「っ まこちゃんじゃねぇ、なんでお前がここにいるんだっなんでこんなことにっ っ」
ぐぐ と更にまこちゃんの顔が歪んで、堪えるように歯を食いしばって何かを飲み下すように喉を動かす。
「 ────信くん! シェルター使えるって! わっ……」
駆け込んできたのはまこちゃんにしがみついていたΩだってわかって、まこちゃんの腕の中でほわほわになっていた気分がちょっと萎む。
やっと二人で引っ付けたのに、異物が混じったような気持ち悪さだ。
「アルファ用とオメガ用の緊急抑制剤も持ってきたけど」
「こっちにくれ」
振り返ってそのΩから緊急抑制剤をとろうとするまこちゃんの手に、とっさにしがみついて邪魔をする。
なんでこの状況で、オレじゃなくて他のΩなんかを見てるの! やっときた発情期なのに他のΩの匂いなんてつけてるの!
むーっと頬を膨らませていやいやと首を振ると、ぎゅうっと抱き込まれてしまった。
窒息しそうなほどの筋肉とまこちゃんのフェロモンに、喘ぐように呼吸する。
「お前 っ佐久間! 俺に薬を打ってくれ。その後にミント……オメガ用の薬を」
「う うん」
そろそろとこちらに近寄って来る佐久間って呼ばれたΩは、間近で見るとやっぱり可愛い。
悔しくなって腕の中でバタバタと暴れてみるも、まこちゃんの腕はちっとも揺るがないし緩めてくれる気配もなかった。
「 ────っ! 暴れんな ……俺が今、ぎりぎりで堪えてるのをわかれよ」
「わか わかんな っ、や、ぁ、っ! やだぁ! 体っもっと 触って っぎゅうだけじゃ、ぃやだ!」
「我儘言うな!」
まこちゃんに注射を打ち終えた佐久間がΩ用の緊急抑制剤を渡してるのが見えて……
「わ、ワガママなんかじゃないもんっ」
「あっ! おいっ」
口の中に薬を押し込んで来ようとする手を振り払い、まこちゃんの胸にしがみつく。
気持ち悪いと思っていたあの男達の匂いと違って、まこちゃんのフェロモンは脳味噌を沸騰させてくるけど気持ちいいって思わせる。
「……っ」
筋肉で膨らんだふかっとした胸に頬を寄せれば、それだけでぞくぞくとした感覚が背筋を駆け上って、股間の中が湿っぽくなって……
ぐずぐずに溶けてまこちゃんに全部食べられてしまいたくなる。
「まこちゃ まこちゃん、お腹のナカ 触って……」
一番熱いのは臍の下で、奥が焦れてとろとろと蜜が溢れ出していく。
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