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落ち穂拾い的な ヒートの真相5
「まこちゃ 」
うまく目が開かないからか、「んー」と唸りながら俺を探してきょろきょろとしている。
「ミント?」
声をかけるとスンスンと匂いを嗅ぎ分けるように鼻を鳴らして……
「まこちゃん!」
「ただいま!」
腕の中に飛び込んでこられて、力いっぱい抱き着かれると疲れがどこかに行ってしまう。
ミントはふんふんと探るように俺の匂いを嗅いで、満足そうに笑うともう一度力を込めてしがみついてくる。
どこからどう見ても文句のつけようのない愛情表現に、強すぎない力でそっと抱き締め返した。
くふふーとくぐもった笑い声が聞こえて、息がくすぐったく肌を撫でる。
「おかえりなさい! んとね、赤ちゃんの写真貰って来たよ!」
「まじか!」
「見せるね」と言いつつもミントの腕は腰に回されたまま動かず……
「ミント?」
「もうちょっとこのままで!」
「あ、うん」
ぎゅー……っと力いっぱい抱きしめられたところで、ミントの腕力じゃ痛くも痒くもないから別にいいんだけど。
ただ、いつもと違う様子にちょっと不安になる。
初めて巣作りしてたこともそうだけど、こうやって抱き着いたまま動かないのも初めてだ。
妊娠するとホルモンの変化で不安定になるっていうし、今日病院に行って何か言われたのかもしれない。
そうだとしたら、俺にできることなんて多くはなくて……とりあえずミントを抱き締めたままベッドへと横になる。
それで、そのまま二人とも頭から布団を被ってぎゅうぎゅうに抱きしめ合う。
「まこちゃん……あったかい」
今は夏も盛りで言葉に出すなら「暑い」の方が正しいだろうに、腕の中のミントはそう言うと震えるように身を寄せてくる。
その姿が、寄る辺のない子猫のようで……
「俺がいなくて寂しかった?」
「 ────うん」
小さな返事は布に吸収されて消えてしまいそうだ。
俺はというと、叫びそうになった口を引き締めるのに必死だった。
ミントは良くも悪くもマイペースで、俺の傍に居ることができるならそれでいいし、居ることができないならそれはそれで気にしない みたいな態度ばかりだった。
俺が突っぱねるのもあったけれど、周りにΩが寄ってきても「ふーん」みないなところがあって……残念な気分になったりもしていたくらいなのに、今腕の中にいるミントは……俺がいなくて寂しいんだとはっきり意思表示を見せた。
「あ、え。俺も、ミントと離れてて寂しかった」
「……ん」
泣くのを堪えるかのように、口をへの字にしたミントの返事は簡潔だ。
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