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はいずる翼 31
周りはだいたいが無性で、居たとしてもβだった。
しかも自分はダメな性別であるΩだったから、バース性がバレただけでもどんな目に遭うかわからない。
発情期を含む性的な話なんて、誰にも相談できなかった。
「……っ」
だから、どうしていいのかわからないままに勢いをつけて股間を掴む。
他の部分と違って柔らかいとは思うがそれまでで、それで何か感じるとか気持ちいいとかいうのはない。
一瞬、こんな自分だから不能なんだろうか? と思い……時折、朝に下着を汚していたことを思い出して首を振った。
「触りかたが悪い?」
どうしたら? と思いながらぐいぐいと揉んではみたがむず痒いような痛いような感覚に手を離す。
本能的な部分で自分のしていることは違うんじゃないかって思いがあって、少し悩んでから項の時のようにマッサージするようにゆるく擦ってみる。
一瞬、ひくりと体が引き攣った。
そこがとっかかりなんじゃないかってひらめいて、ズボンの上から指先ですりすりと擦ってみる。
ほんのわずか、小さなシミのように現れた気持ちの良さが滲むように広がるのはあっという間で……
「 は、 ンっ」
急に体の体温が跳ね上がった。
それと同時に鼻から上ずるような声が漏れ、擦る指先が自然と一本から二本に増える。
ひんやりとしていた指先がじんじんと火傷でもしたかのように熱くなって、時折ふいに腹の奥がきゅんと痛む。
「ふ ぅ、 ぁ、なに、っ」
ふいに硬くなることはあったけれど、自ら進んで硬くしたことのない股間が芯を持つ。
くにりくにりとこねられるくらいの柔らかさが、次第に膨らんで跳ね返すような弾力を持ち始めて……
先端まで触ると、じわりとした湿っぽさが指に絡む。
「ん、汚してまう 」
このまま擦り続けたい思いと下着を汚してしまう罪悪感を天秤にかけながら、それでも指を止めることができなくて漏れる声を塞ぐために枕に顔を埋めた。
普段自分が使っているシャンプーの濃い匂いがして息が詰まるけれど、少しでも油断をすればあられもない声が上がりそうで顔を上げることはできない。
くちくちくち と布を挟んで刺激すると得られる刺激は次第に強くなって、思わず揺らめくように腰がかくりと動く。
「 ────っ」
体中に鳥肌が立つ。
世界の音が遠のいて、自分の体の中から伝わってくる水音だけが卑猥な粘っこい音を立て続けている。
絞られるように腹の奥が疼く。
それと同時に激しい熱が指で弄るものに集まっているのも感じて……
指先に感じる湿り気は粘りを帯びて糸を引くんじゃないかって思わせるくらいぐじゅぐじゅだ。
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