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はいずる翼 33
「はは、ヒートのオメガ相手に一人で相手なんてできるわけないだろう?」
もともと勃ちも悪いのに発情期のΩを抱こうとすることがおかしいんじゃないかと、言ってやりたかったがぐっと飲み込んだ。
むずむずと腹の底から沸き上がって来る熱はもう自分じゃどうしようもなかったし、自分達が満足するまでオレを放す気もないだろう。
「 ぁ゛」
身の内を焼きに来るような熱に視界がチカチカと明滅する。
ほんの一瞬戻ってきた正気も、あっという間に消えてしまうのだから何を文句言ったところで無意味だった。
「ああほら、相手してあげないと泣き出しますよ」
「はは、なんて鳴くんです?」
「さっきみたいな下品なのは、イマイチ良さがわからない」
そう言いながら一番のっぽな男がバスローブを脱ぎながらこちらへと向かってくる。
背はあるが筋肉は少なくて、緩やかにたるんだ皮膚に覆われた腹部が目立つ。
「ぅ゛ っ、あ かんっ あつ ぃ! ココ、が っ」
それでなくともついさっきまで犯されていた体は空気の動きにも反応してしまうくらい敏感で、男の目が肌を撫ぜていく感覚ですら拾い上げてしまう。
本能のままに漏れそうになる声を抑え込み、なけなしのプロ根性で全裸の男に縋ってみせる。
緩やかに反応はしているけれど角度も硬さも全然なソレは、この男がβか無性だとオレに教える。
少なくともフェロモンにあてられていない人間が発情期のΩを抱いて楽しいのか……甚だ疑問だったがオレに問いかける機会はこない。
「んっ 」
ちゅ ちゅ と先端に口づけてから側面を唇で食んでいく。
この男のバース性が何かは知らないが、フェロモンを一切感じないのに棒があればそれでいいと思えてしまう自分を馬鹿にしながら性急に舌を這わす。
口に招き入れて喉の奥で扱き上げると苦しくて辛いはずなのに、ほの暗い喜びに腹の奥が震える。
樽のような体形の男が出した精液を掻き出すように泡立てながら、男を受け入れる準備をして……
「 しっかり出させてくださいよ」
「わかってますよ」
笑いを含んだ声はセックスをするよりも、今から虫を弄り回そうとしている子供のようだ。
「しかし、潮に不老長寿の効果があるとか、本当なんです?」
テーブルの方から聞こえて来た言葉に蕩けかけた脳が正気を取り戻す。
「あはは! さぁー……でもオメガですからね」
「ふぅん? 薹が立ったオメガでも?」
「筋張ってはいますけどもまぁ、モノは柔らかかったでしょう?」
「私はぽちゃぽちゃしている方が好みですから。まぁでも、具合は悪くなかったですね」
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